自転車協会によるアンケートによると、自転車通勤を始めた目的として、
- 時間の節約
- お金の節約
- 運動不足解消
がトップ3に入っています。
確かに電車やクルマなど他の通勤手段に比べて自転車は健康的なイメージがあります。
でもイメージだけじゃなくて、もし本当に運動不足解消のために自転車に乗ろうとお考えなら、できれば実質的な効果が得られたという「結果」を出したいですよね。
そのためには、いったいどれくらいの頻度で、どれくらいの運動量があればよいのか考えてみましょう!
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■ 目次
今回ターゲットとする運動のレベル
まず、ひとことで運動の効果といっても色々なレベルがあると思います。1.生活習慣病の予防
2.ダイエット(脂肪を落とす)
3.シェイプアップ(筋肉をつけ、体形を整える)
4.本格的なトレーニング
「運動不足の解消」といえば、ゼロもしくはマイナスから積み上げるイメージですから、1か2ですかね。3もちょっと入ってくるでしょうか。
今回は、この最も基本的なレベルである、生活習慣病の予防をターゲットとして、自転車でどれくらいの運動量があれば実質的な効果があるのか、その目安について調べてみました。
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生活習慣病の予防に効果のある運動量の目安とは?
ずばり、1週間で約3時間、自転車に乗る。
すなわち、自転車通勤として考えた場合の頻度としては
- 週3日の場合、一日あたり60分(片道30分)
- 週5日の場合、一日あたり40分(片道20分)
という活動を行えば生活習慣病の予防に効果があるとされています。
(時速20km/h程度の自転車運動の場合)
次から、この根拠について述べていきますが、ちょっと数字が多くてややこしいかもしれませんので、すっ飛ばして結構です。とりあえず、上の数字だけ参考にしていただければ。
o(^-^)o
この数字の根拠は?
根拠は、厚生労働省が健康づくり施策の推進を行うために出した、以下のガイドラインです。『健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)』
『健康づくりのための身体活動基準2013』
ざっくり言えば、科学的な知見に基づく、子どもから高齢者までの健康づくりの基準が示された文書です。
前者の発行後、6年以上たってから後者が発行されました。推進方策等の見直しが加えられているのですが、基本的な内容は前者のものを踏襲しています。
この中で、
将来、生活習慣病等を発症するリスクを低減する有意な効果が認められる基準が示されています。まさにこの文書の骨子と言える部分ですが、それは以下のような内容です。
18~64歳の「身体活動(生活活動・運動)量」の基準として、
強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行う。
具体例として、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う。
そして、その中に含まれる「運動量」として、
強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週行う。
具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。
ここで、「メッツ(METS)」とは運動強度の尺度です。
「メッツ・時」とはメッツに時間を掛けたもので、活動量を表します。
(詳細は後ほどご説明します)
上の基準では、週当たり23メッツ・時の強度の身体活動をすべきで、そのうち4メッツ・時以上は運動として活動する必要がある、と言ってます。
この様子を表したものが次の図です。卵みたいになってますが、黄身に相当するのが運動で賄うべき部分を示します。
同じ運動強度なのに、生活活動(白身)と運動(黄身)を区別してるのがナゼなのかイマイチよくわかりませんが・・・
最初の章で示した目安はどう計算したの?
「1週間で3時間、自転車通勤をする」という目安は、上記基準の 週当たり23メッツ・時の「身体活動」 を、全て「運動」(時速20km程度の自転車)でカバーしたと仮定して求めたものです。20km/hの自転車運動は8メッツですので、23/8=2.875(時間)で、繰り上げで3時間としました。
この計算の様子を表したものが下の図です。卵が全部黄身になってるイメージです。
黄身はもっと小さくても良いわけで、上で説明した通り、4メッツ・時まで小さくてもOKです。
自転車(時速20km程度)の運動強度は8メッツですので、少なくとも週当たり30分以上自転車に乗れば4メッツ・時以上となり、これで「運動量」の最低基準を満たすことになります。
このように、自転車による運動が週3時間に満たなくても、その代わりに歩行などの中強度(3メッツ)以上の強度の身体活動(白身)でおぎなって、黄身+白身の卵全体として週当たり23メッツ・時以上を達成すれば、身体活動量の基準をクリアできます。
この辺りはご自分の活動内容によって、自由にアレンジしていきましょう。
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メッツ(METs) って?
「メッツ」は運動の強度
メッツとは、生活活動や運動ごとに細かく定義された、運動の強度を表す尺度です。Metabolic Equivalents of Task もしくは Metabolic Equivalentsの略です。
簡単に言えば、ある活動が、安静時の運動強度である1METsに対して、何倍のエネルギーを消費するかを表します。
以下に主なものをピックアップしてみます。
(出典:厚生労働省 『健康づくりのための身体活動基準2013』 参考資料より)
「メッツ・時」は活動量
「メッツ・時」すなわち、メッツに時間を掛けたものは運動強度に時間を掛けたもので、活動量をあらわしています。「エクササイズ」という単位が使われることもあるようです。上記の基準を示す文を例にとると、
「強度が3メッツ以上の身体活動を23エクササイズ/週行う。」という言い回しになります。
しかしこのエクササイズという単位ですが、2006年の旧基準の文書内では使われてましたが、2013年の新基準では姿を消しています。おそらく、「エクササイズ」という単語が一般的に使われすぎているので、誤解を招きやすいということで使うのをやめたんじゃないでしょうか(私の想像です)。
カロリーとの違いは?
運動強度の尺度として、一般によく使われている「カロリー」を基にしてはいけないのでしょうか?実は、同じ活動量に対して、体重によって必要なカロリー量に差が出てしまうのです。生活習慣病予防のために必要な活動量を個人の体重によらず一様に示すためにメッツが使われます。
メッツとカロリーは以下のように換算することができます。
エネルギー消費量(kcal)=1.05×エクササイズ(メッツ・時)×体重(kg)
終わりに
冒頭で、運動の効果を以下のようにレベルわけしました。1.生活習慣病予防
2.ダイエット(脂肪を落とす)
3.シェイプアップ(筋肉をつけ、体形を整える)
4.本格的なトレーニング
このうち今回は、運動不足を解消するレベルとして、最も基本的な1.「生活習慣病予防」のレベルに焦点を絞って調べてみました。
自転車運動だけでそれを賄おうとすれば、週3日として1日あたり60分(片道30分)が目安であることがわかりました。
実際は、自転車以外の運動や「歩く」という生活活動も組み合わされるので、もう少し軽くても大丈夫でしょう。
この数字を多いと見るか少ないと見るかはお任せします。一定の根拠ある基準ではありますので、自転車で運動不足解消をお考えの方は、ぜひご自分の活動プログラムの検討でお役立ていただければと思います。
なお、便宜上、上記のように運動効果のレベルを4段階に分けて説明しましたが、実際の効果としては重なっているでしょう。つまり、1.の生活習慣病予防のレベルの活動量をこなせば、2.のダイエットや3.のシェイプアップにもある程度は効果があるということですね。
具体的には、今回見てきた生活習慣病を予防するための活動量は、ダイエット効果としては「一ヶ月に1kg程度」に相当します(摂取カロリーを維持するとして)。
今回は活動量の目安に焦点をあてましたが、それよりも重要なことは「習慣化」だと思います。それについては別記事(自転車はダイエットを効果的にするお手軽かつ最強のツールだと思う)の方で語らせてもらってますので、合わせてご覧いただければと思います。
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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