通勤ルートの途中に、自転車でどう通行したらよいか判断に迷う交差点があります。
図のような交差点でAの地点から進入し直進したいのですが、あいにくと左側の車線が左折専用レーンになっています。
はて、このまま左折専用レーンから直進してもよいのでしょうか?
はたまた、右側の右折直進レーンから直進すべきでしょうか?
横断歩道もないし、自転車はどこを走ったらよいのかな??と疑問をもったので、いろいろ調べてみました。
左折専用レーンを直進してよい
結論から言いますと、この場合の答えは、「自転車は左折専用レーンから直進して良い」 です。
ではその法律的背景を確認してみましょう。
まず、車両通行帯のない道路(片側1車線しかない)の場合を見てみますと、
自転車は道路の左側端に寄って通行しなければならない
(道路交通法第十八条より)
まあ、ごく当たり前の内容ですね。
一方、問題の交差点の場合は片側二車線以上つまり「車両通行帯が設けられた道路」ということになるんですが、そうした道路を通行するルールとして、法律的には以下のようになっています。
車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。
(道路交通法第二十条より)
要するに、(車両である)自転車は一番左側の通行帯(車線)を通行する必要があるといっています(補足条項により、自動車(クルマ)の場合は別の通行帯も通れることになっています)。
われはわれはクルマでごく普通に複数の車線を使って走行していますが、基本は左側車線のみ、例外的にそのほかの車線も走ってもよい、ということなんですね。めんどくさい。
問題は、その一番左側の車線が左折専用レーンだった場合、直進したい自転車はどうすればよいの?ということですよね。自転車はクルマのような別の車線を走ってもよいという例外規定は無いのですから。
次のような内容の条文があります。
軽車両等を除き、車両は、車両通行帯の設けられた道路において、進行方向に関する通行の区分が指定されているときは、従わなければならない。
(道路交通法第三十五条より)
逆を言えば、自転車(軽車両)は通行帯に対する進行方向の指定に従う必要がないということです。つまり、「左折専用レーン」だろうと、自転車にとっては「そんなの関係ねェ!」ってことです。
以上のことをまとめますと、自転車は
- 車両通行帯ナシの道路では、道路の左側端に寄って通行する。
- 車両通行帯アリの道路では、左から一番目の通行帯を通行する。
- 進行方向を指定する通行区分(左折専用等の指示)に従う必要はない。
ということになります。
ただし、左折車の巻き込みには十分に注意を
直進のところに横断歩道が無いこの交差点では、ろくに安全確認せずに左折してくるクルマも多いので、十分注意する必要があります。このような時は、左折車が途切れるのを待つか、左折車がこちら(自転車)の存在を認識してスローダウンしてくれたら、直進するようにしましょう。
また、自転車は、車両通行帯が無い道路では道路の左側端を走行しなければならないのですが、実は、車両通行帯がある道路では第一通行帯を走行する必要はあるものの、その通行帯内で左端に寄らなければならない、とは道路交通法で規定されていません。
つまり、第一通行帯(この場合は左折専用レーン)の右端から直進することも可能ということです。
(おそらく、車両通行帯がある道路では、クルマはちゃんと車線を移動してから追い越しできるから、自転車は車のために左端に寄ってあげる必要はないということ。クルマ視点で言い換えると、同じ車線の中で自転車のすぐ横で追い越すべきではないと言っているんじゃないかと思います)
実際、私はこのようなケースでは交差点の少し手間で手信号を出して車線の右側に寄って、直進するようにしています。クルマも左折しようとして減速しますのでね。
クルマの間をすり抜けるのもちょっと怖い場合は慎重にやりましょう。左端を走行して、クルマが途切れなければ信号が赤(左折専用の青色矢印も消灯)になるまで待ち、赤になったらクルマの前を横切り車線の右端に移動して、信号待ちをするのが良いかと思います。
ただし、白地に青矢印の「左折可」の交差点の場合は例外で、対面の信号が赤でも、左折車がどんどん通行してきます。邪魔にならないよう、左折レーン右側で待機するのは避けた方がよさそうです。
左折レーン左側で待機する場合は、左折車の巻き込みの恐れがありますから、あまり前に出すぎないで待機するのがよいと思います。
また、読者の方から、こうしたケースでは思い切って直進レーンに入ってしまって待機してはどうかとのコメントを頂戴しました。原付なら良いですが自転車だと法規的にはNGなのでおすすめとは言い難いですが、最終的には、ご自身の安全を第一に考えていただければと思います。
まとめ
一番左側の車線が左折専用レーンである交差点で直進する場合はどこを走行したらよいの?という問題についての法律的解釈をまとめます。場合によってはその車線の右端を通行することも可能。
(自転車で片側二車線以上の道路を走行する場合)
("場合"というのは、例えばクルマの速度が遅くて流れに乗って右に進路変更できる場合や信号待ちのタイミングなどで安全に車線の右端に移動できるような場合があるかと思います)
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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ウェブサイト拝見しました。
自転車の左折レーンにおける運行方法について、概ね同意です。
しかしながら、一部例外もあり、左折レーンのみ青矢印の交差点の場合、自転車が直進のために左折レーン右側に寄っていると、左折車の通行を阻んでしまいます。
私は、左折レーンに留まらず、思い切って、直進レーンに車線変更するべきだと考えます。原付バイク同様に。
W.R.さん、こんにちは。ブログ管理人のJYです。
コメントありがとうございました。
確かに、自分は直進できないけど、左折車は左折できるという状況だと、左折レーンの右側で待機するのはよろしくないかもです。
記事の方、少し見直してみました。ご指摘、ありがとうございました。
JYさんご返信ありがとうございます。
役立つ情報発信に対して、密かに尊敬しております。
この問題は根深く、第一に、法の側に改善の余地があることですよね。
車の側は、自転車が左折レーンを直進できることを知っていない場合が大半のようなので、法知識の啓蒙も要請されます。
乗り手の側は、運転技能に長けている人ならば日々試行錯誤していく中で克服していけますが、子供や主婦、高齢者らを考慮すると、現状の態勢を憂えずにはいられないです。
W.R.さん、過分なお言葉、恐れ入ります。見識の高いコメントをいただけて、勉強になります。
そうですね。私も最初調べた時、自転車なら左折レーンを直進できるなんて、本当にびっくりしました。普通、知っている人はまずいませんよね(笑)。なにしろ理解し難い。
車と比べてどうしても速度が遅いので、何かあれば歩道寄りに逃げられるようにという考えが根底にあるのかなと認識していますが、ご指摘いただいたケース等、様々考えると、確かに難しい課題だと思います。
最近、自転車事故を何とかしようと、ヘルメットの努力義務化や飲酒運転の厳罰化など、少しずつ社会の目が自転車に向けられてきているのは良い傾向だとは思います。欲を言えば規制強化ばかりでなく、優しい方(自転車専用レーン等のインフラ充実など)も改善されると良いのですが。欧州とかの自転車先進国がうらやましいですね。。。