もしあなたが「自転車での交通事故」に遭遇するとしたら、自分はどちらだと思いますか?
加害者? それとも被害者?
自分は気を付けているから、加害者になることはない。でも、クルマにぶつけられて被害者になるかも。。。などと思っている方が多いのではないでしょうか。
正直言えば、私自身、そう思ってました。自転車通勤でのリスクを考えたとき、無意識に「事故に遭う(被害者)」という場面を考えてしまって、自分が加害者となる意識は低かったように思います。
自転車は免許が不要で、子供からお年寄りまで誰でも乗れる非常に身近な乗り物です。しかしいくら身近で手軽だとしても、必ずしも事故が軽く済むとは限りません。相手が転倒して打ちどころが悪ければ死亡する可能性は十分にあります。
加害者になってしまったら、相手に対して十分な賠償責任を果たさなければなりません。自転車に乗る以上はそうした備え、すなわち「保険」が不可欠です。
しかし、クルマのような強制保険の制度がないので、こうした備えが無いまま自転車に乗っている人が少なくないのではないでしょうか。
今回は、これまで真剣に考えてこなかった自分の反省も含めて、自転車の保険についていろいろ調べてみました。一瞬の不注意で人生を棒に振ることのないよう、一緒にみていきましょう。
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■ 目次
自転車保険を選ぶ際の3つのポイント
自転車向け保険を検討する上で必ずチェックすべきポイントとして、以下の3つを挙げたいと思います。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1.賠償責任補償の被保険者は家族全員
非保険者とは、加害者となったときに補償の対象になる人のことです。家族の中の誰かが加害者となって賠償責任を負えば、生計を一にする家族も一蓮托生です。ですから、
自転車に乗る可能性がある家族全員を補償の対象とする必要があります。
実は、賠償責任補償の保険は家族全員をカバーできる「家族型」の設定があるものが一般的です。ご自分の保険の内容がそうなっているかしっかり確認しておきましょう。
一人ひとり個別の保険に加入することも可能ですが、割高になってしまいます。
もちろん、独身の方は「本人型」、ご夫婦だけの世帯であれば「夫婦型」でOKですが、家族構成が変わったり、お子さんが大きくなって自転車に乗るようになったら、忘れずに自転車保険も見直すようにしましょう。
2.賠償責任補償額は1億円以上
過去の事例から見て、金額としては少なくとも1億、できればそれ以上の補償が必要です。自転車がいくら手軽な乗り物だと言っても、必ずしも事故が軽く済むとは限りません。特に歩道で歩行者が相手の事故の場合、過失相殺が10対0で自転車が悪いとみなされるケースが多くなります。
実際、小学生が加害者となった自転車の事故で、保護者に対し1億円近い賠償命令が出ています(2013年)。
その他にも高額な賠償額の判例がいくつも出ています。
いずれも、保険に入っていなければ、どうにかなるような金額ではありません。自己破産しようがしまいが無い袖は振れませんから、結局被害者も十分な賠償が得られず、人生を大きく狂わせてしまうことになります。
自転車といえど、クルマと同程度の補償額が必要なのです。
3.示談交渉サービス付き
示談交渉サービスが付いた保険を強くおすすめします。素人が自力で相手と交渉しなければならないとしたら、えらいことです。
平日の対応が必要なことがあれば仕事や職場への影響も大きいですし、夜も眠れないなど、精神的な負担は相当大きなものになります。
こうしたサービスがあっても事故処理というのは全て人任せにできるような甘いものではないでしょう。でも餅は餅屋。プロにサポートしてもらえることは本当に心強いです。
逆に、交渉のテーブルについていないと、保険会社は補償額を厳しく見てくるかもしれません。被害者に誠意を尽くすべき立場の加害者として、自分の保険会社とタフな交渉を強いられることにもなりかねません。
ただし、以下の点にご注意ください。
損害賠償責任に付随する示談交渉サービスですと、相手方へ損害賠償請求を行う場合(自分が被害者側)は適応外となる可能性があります。
逆に、「弁護士費用補償特約」ですと、相手方へ損害賠償請求を行う場合(自分が被害者側)には利用できても、相手から損害賠償請求をされる場合(自分が加害者側)の交渉は基本的に対象外です。
可能であれば、両方を備えておくことがベストです。
サービス | 賠償請求する (自分は被害者) | 賠償請求される (自分は加害者) |
---|---|---|
示談交渉サービス | × | 〇 |
弁護士費用補償特約 | 〇 | × |
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被保険者自身のケガ等の補償もついているような「障害保険」が付いていますと、入院保険金および通院保険金の補償対象や金額によって支払うべき保険料が大きく違ってきます。
しかし、こうした補償はすでに生命保険等でカバーされている方が多いと思います。であれば自転車用としてこうした補償を別途追加する必要性はあまり無いでしょう。
さっそく自転車保険に加入すべきか・・・?
では、自転車保険が必要だ!十分な補償が付いている保険に入らねばっっ!!と思ったとしましょう。だからと言って直ちに新しく自転車保険に加入する必要があるかといえば、必ずしもそうではありません。
すでに有効な保険に入っているかもしれない
どういうことかというと、既に加入している保険に付帯する特約で、十分な損害賠償補償が受けられる方が結構いるからです。たとえば、
- 自動車の任意保険の特約
- 火災保険などに付帯する損害賠償特約
- 携帯電話やクレジットカードに付帯する補償サービス
などがあります。
自転車事故でも利用できると明記されていないと、気づきにくいかもしれませんね。
補償内容として
「日常生活の中で他人に怪我をさせたり、他人の物を壊したりしたときに発生した損害賠償金を補償する」
というものであれば、自転車事故でも使えるはずです。(約款等を確認されることをおすすめします)
もしそうした内容で、十分な補償が付いていれば、わざわざ新しく自転車のための保険に加入する必要はないと思います。しっかりと特約の内容も確認しましょう
補償が重複した場合
対象となる事故について、いずれの保険からでも補償は可能ですが、いずれかの契約から保険金が支払われないことがありますのでご注意ください。重複しているのに重複してないと申告しても、保険会社間には横のつながりがありますからバレてしまいますよ。
重要なのはどんな保険に加入しているか把握しておくこと
自転車向けの保険にしろ、別の保険の特約にしろ、自分で請求しなければ、補償は受けられません。日頃から自分がかけている保険の内容をよく理解しておかないと、せっかく保険料を支払っても意味がないですね。
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自転車向けの保険はどこで加入できる?
新規に自転車向けの保険に入るとしたら、どこで加入できるでしょうか?いろいろあると思いますが、ここでは手軽に加入しやすいものとして、コンビニ各社で取り扱っている自転車向け保険をご紹介します。
最近、コンビニへ行くと自転車向け傷害保険とか賠償責任補償とかのチラシを目にすることがあります。
自治体による自転車保険義務化の動きや、高額賠償の判例などのマスコミ報道の影響もあってか、保険会社の方も自転車向け保険の取扱い間口を広げてきているようです。
主なコンビニ3社の自転車向け保険
3社とも自転車保険の構成は共通して以下のようになっています。
- ベースとなるのは自転車事故に限らず日常的な活動における怪我を補償する傷害保険
- それに追加する形で個人賠償責任補償特約および賠償事故解決に関する特約が付けらている
ローソン
概要HP | http://www.lawson.co.jp/service/application/hoken/ |
保険名 | ローソン自転車保険(Loppiで加入) @サイクル保険(インターネットで加入) |
引受保険会社 | 東京海上日動 |
問合せ先 | 東京海上日動インターネットサポート 0120-677-221 月~金(除く祝日・年末年始)9時~17時 |
賠償責任補償金額(最高) | 無制限 |
示談交渉サービス | あり |
契約自動更新 | あり |
特徴 | 賠償責任補償金額が無制限!! |
ファミリーマート
概要HP | http://www.family.co.jp/services/other/assurance/cycle_assurance.html |
保険名 | 自転車向け傷害保険(個人用傷害所得総合保険 THEカラダの保険) |
引受保険会社 | 損保ジャパン日本興亜 |
問合せ先 | 損保ジャパン日本興亜 自転車向け傷害保険カスタマーセンター 0120-602-082 (平日・土日祝日 9時~17時 12月31~1月3日は休) |
賠償責任補償金額(最高) | 3億円 |
示談交渉サービス | あり |
契約自動更新 | なし。ただし保険期間終了近くに継続案内(郵送)あり。 |
特徴 | 損害賠償責任補償は家族が対象だが、怪我の補償は本人のみ。その代わり保険料が比較的安く設定されている。 |
セブン・イレブン
概要HP | http://jitensya.ehokenstore.com/ |
保険名 | 自転車向け保険 |
引受保険会社 | 三井住友海上 |
問合せ先 | セブンイレブン自転車向け保険専用ダイヤル 0120-846-711 24時間365日 三井住友海上お客様デスク 0120-632-277 平日9時~20時、土日祝日9時~17時 |
賠償責任補償金額(最高) | 3億円 |
示談交渉サービス | あり |
契約自動更新 | なし。ただし保険期間終了近くに継続案内(郵送)あり。 |
特徴 | 日常生活サポートサービス(健康・医療・介護・子育て・法律・税金などの相談) |
※上記は2017年8月に調べた内容です。
※(更新)2024年8月でもほぼ内容に変更はないようです。
職務に従事している時の事故は補償の対象外
上記のうち、「職務に従事している時の事故は補償の対象にならない」とパンフレットに記載されているものがありました。そんなことを書かれると、自転車通勤もダメなの?と心配になりますよね。店頭パンフレットには概略しか書かれていないでしょうから、念のためパンフレットに明記されていないところも含め、3保険それぞれに電話して確認してみました。いずれも同様の回答でした。
例えばヤクルトレディさんや新聞配達等で自転車を直接的に職務で使用している場合の事故は補償対象外。一方で自転車通勤(職場への行き帰り)は直接の職務ではないので補償対象になる
とのこと。ただし、自宅から職場に行くのではなく、直接取引先へ自転車で向かうような場合ですと、職務中とみなされて補償対象外となる場合もあるそうなのでご注意ください。
私の場合
長らく加入している自動車保険の特約として、賠償責任補償特約をつけています。追加の保険料は約二千円ちょっとです。で、その内容をあらためて確認してみました。
手続き上のアドバイスはしてくれるそうですが、示談交渉サービスの提供は無いとのこと!!
この保険会社にはこれまでにもクルマでの事故や物損案件(あまりに軽微で事故にはならなかった)で、親身な対応をしてもらって信頼していたので、正直いいまして示談交渉サービスが付いていないことは盲点でした。
でも、保険商品としてそういう内容なのですから仕方ありません。
代わりに弁護士費用特約を付けることを検討してみましたが、前述のとおり、望むものと違うことがわかりました。
* * *
というわけで、コンビニで示談交渉サービス付きの自転車向け保険に新規加入しました。
しばらくは従来の自動車保険の付帯特約と重複してる状態となりますが、自動車保険の更新の際には賠償責任補償の特約はやめて、新しく加入した自転車向け保険の方のみを継続していこうと思っています。
事故だけななくて、故障にも備えたい
ある程度遠乗りをするようなユーザーには、ロードサービス(故障車の無料搬送など)付きの自転車用自賠責保険なんてのもおすすめです。もちろん、示談交渉サービス付きです。もともとはバイク専門のロードサービスとして20年以上の実績があるとのことで、コールセンター(24時間365日)やレスキュー拠点(全国2万拠点)といったサポート体制がしっかりしているのがウリです。
自転車通勤がメインだったら、無料搬送距離は100kmも要らないので、60kmまでの「プランM」がよさそう。これだと年額4,300円(税込)です。
これで、賠償額1億円、示談交渉付きで、ロードサービスも付いてきます。
ただし・・・保険の対象が「本人が登録した自転車に乗車中に限る」となってたりするので、自分にとってどんな保証内容が必要か、よく検討する必要があります。
詳しくはこちら↓
>> 賠償責任保険付き 自転車ロードサービス 『CycleCall』公式HP
おわりに
一番お伝えしたいことなのでもう一度おさらいしますね。自転車保険で考えるべきポイントとしておすすめなのは以下の3点です。
- 賠償責任補償の被保険者は家族全員
- 賠償責任補償額は1億円以上
- 示談交渉サービス付き
別の保険の特約等で既に損害賠償の補償を付けている場合は、上のポイントに照らして有効な内容であるかを確認しましょう。
私の場合は不十分だったので、新たに自転車向け保険に加入するにしました。
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実際、私も歩行者にぶつかりそうになったことがあります。その歩行者は、スマホを見ながら突然道路を横断しようとしたんです。
このときは急ブレーキで私が転倒しただけで済みましたが、もし気が付くのが遅れて相手の人にぶつかっていたらと思うともぞっとします。けっこうスピードを出してましたので。
今回いろいろ調べていくうちに自転車に乗ることの責任の重さをあらためて痛感し、よりいっそう慎重に走ろうと思いました。家族にも伝えていきたいと思います。
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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