自転車の盗難って、他の窃盗事件と比べて軽く考えられがちな印象がありますよね。
ちょっと足代わりに使って乗り捨てることだって立派な犯罪です。
いつも乗っている自転車が無くなると日常生活に支障をきたしますし、なにより「有るはずのものが無い」という現実に直面したとき、大変なショックを受けるものです。
たとえ鍵をかけていても、戸外で置いておく限りは盗難を完璧に防ぐことは困難と言わざるをえないですが、自転車の盗難防止にはいくつかポイントがあります。今回は 9つの鉄則 として詳しくご紹介したいと思います。
4月になり、新しく自転車を買って通勤や通学を始められる方もいらっしゃるでしょうね。ピカピカの愛車を盗られないよう、できるかぎりの対策を行って自己防衛していきましょう!!
■ 目次
実は私も自転車を盗られたことがあります(涙)
駅の駐輪場でマウンテンバイクを盗まれました。会社に入ってから購入し、通勤や友達とのツーリングなどでも愛用してた自転車だっただけにかなりショックでした。チェーンロックは掛けていたのですが、地球ロック(注)はしてませんでした。クルマが乗り付けられる場所でしたので、鍵がかかったまま持っていかれたんじゃないかと思われます。
盗難届を出しましたが、結局その自転車は戻ってきませんでした。
自転車を停める時、時間がなくあわてていたのと、少しの時間だからという油断がありました。もちろん、駅はヤバいと思っていましたし、地球ロックしないで置いておくことは危ないという認識はありましたので、犯人に対してだけでなく、油断した自分自身に対しても腹が立ちました。
盗難防止の大きなポイントは、「ロック」と「駐輪場所」の二つです。
私の例は、まさにロックも、駐輪場所も、配慮が足りなかったと言わざるを得ません。
次からこの2つのポイントを軸に、盗難防止の鉄則をひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
盗難防止の9つの鉄則
ロックに関すること盗難対策の基本はやはりロック(キー、鍵、施錠)です。
ここでの鉄則は:
- 複数ロックは効果的
- できるだけ地球ロックをすること
- 盗難被害の約半数は未施錠が原因
- 鍵が壊れたらすぐに対処すべし
- チェーン錠がおすすめ
- 小物はできるだけ外して携帯
鉄則1:複数ロックは効果的
警察ではWロック(2つ以上の鍵をかけること)を推奨しています。これは主にママチャリを想定していると思われます。ママチャリや軽快車などの自転車にもともと付いているシリンダー錠や馬蹄錠は簡単に破られてしまいます。ですので、こうした鍵だけに頼るのではなく、より防犯性の高いU字ロックやワイヤー錠やチェーン錠なども併用すべきです。
犯人がもっとも嫌がることは手間取って時間がかかることですから、既に防犯性の高いロックグッズを持っている人でも、さらに追加することで盗難の抑止力が高まります。
自転車本体は盗られなくても、サドルやホイール(車輪)などのパーツだけが外され盗まれることもあります。こうしたことを防ぐためにも、複数のロックで「容易に外せる」パーツを自転車本体(フレーム)につないでおくことをおすすめします。
鉄則2:できるだけ地球ロックをすること
地球ロックとは、固定された柱などの構造物に自転車を繋げておくことです。厳密なことを言えば構造物の所有者に怒られてしまう場合もあるのかもしれませんが、許される範囲でできるだけ地球ロックをするようにしましょう。でないと私のマウンテンバイクのように鍵をしたまま持っていかれてしまいます。
スポーツ車の場合、ホイールは「クイックリリース」という方式でフレームに固定されています。その名の通り、簡単にフレームからホイールを外すことが可能です。
そのため、前または後ろのホイールだけで地球ロックをしていると、そのホイールだけを残して本体を盗まれる恐れがあります。少なくとも自転車本体(フレーム)はしっかり地球ロックするようにしましょう。
上の写真では、フレームおよび後輪をチェーン錠で柵に繋いでいます。写真には写ってませんが前輪は小さなワイヤー錠でフレームに繋いであります。
下の写真はfree画像を引用したものですが、ホイールだけで地球ロックしてたのでしょう。
鉄則3:短い時間でも必ず施錠すること
盗難被害の約半数は未施錠が原因といわれています。急いでいるから?短い時間だから?それとも今まで盗られたことがないから自分は大丈夫だろうと思ってる?
そのような意識からでしょうか、意外に鍵をしない人が多いようです。
「ちょっとコンビニで買いものをする間だけだし、店内からも見えるところだから・・・」と、つい店先に鍵をしないまま駐輪したりしてませんか?
店内から自転車が見えるということは、外からもあなたが見えるということです。品定めに集中してたりレジで支払いをしているあなたの姿を目で追いながら、一瞬で盗むことができちゃいます。
特に未成年(小学生、中学生など)の未施錠が多いそうですので、保護者の方は注意するようにしましょう。
鉄則4:鍵が壊れたらすぐに対処すべし
鍵が壊れてしまったけど、平日は忙しいから次の週末に自転車屋さんにもっていくつもり、なんて言っている間に盗まれてしまうかもしれません。すぐに対処しましょう。100円ショップなどに売られているワイヤー錠だってそこそこ効果があるもの。何もしないよりはずっとましですよ。
鉄則5:チェーン錠がおすすめ
ワイヤー錠は長くて地球ロックできますが、それなりの道具があれば時間はかかるものの切断される可能性があります。U字ロックは強固ですが、携帯性に難ありですし、短かくて柔軟性がないので地球ロックが難しいですね。
チェーン錠だって細いものだと切断される可能性がないわけではないですが、ワイヤー錠より頑丈なものが手に入れやすいと思います。
いずれの鍵も長所短所があり、完璧なものはありません。この中でどれか一つ選ぶとしたら私はチェーンロックをおすすめします。「地球ロック」「携帯性」「強度」がある程度高いレベルでそろっていると思うからです。
私はABUS(アブス)のSTEEL-O-CHAIN 880というチェーン錠を使っています。レビュー記事などで結構評価が高かったので選びました。
頑丈なチェーンというか鎖を布でカバーしたものです。鎖の厚さは7mm。見るからにごっつくて、ちょっとやそっとの工具では切るのは難しそうな安心感があります。
ABUS社にはある程度以上のセキュリティレベルの製品に対し、購入後3年間の盗難補償金制度があります。品質に対する自信の表れでしょう。もちろんSTEEL-O-CHAIN 880はこの補償の対象製品です。
私が購入したのは長さ110cmのものです(85cm品もあります)。これだけの長さがあれば大抵のところで地球ロックができます。走行時は↓写真のようにシートポストに巻き付けているのですが、これ以上長いとペダリングの邪魔になりそうです。防犯性と取り回しのしやすさを考えるとこの程度がバランスのとれた長さかなと思います。
4年間使ってきて布のカバーはだいぶ傷んできました。でもチェーン部分にはサビひとつありませんし、「錠」の部分は動きがシブくなることもなく経年劣化は感じません。
欠点としてはかさばることと、1.9kgとやや重い(85cmは1.6kg)こと。とはいえ、やはりこの頑丈さによる安心感は大きいです。
鉄則6:小物はできるだけ外して携帯
例えば、後付けのライトやサイクルコンピュータ(高機能な速度計みたいなもの)などの小物は一つ一つロックすることが困難です。でも、これらの後付け製品のほとんどは、ハンドルに直接固定されたステー部分と本体とが分離できる構造になっています。
ロックがきかないこれらの小物に関しては、面倒でも駐輪したときに外して携帯するようにしましょう。
ステーも盗まれる可能性はあるのですが、それまで外して携帯するのはさすがに面倒ですね。まあステーなら個別に数百円で購入できますので、盗難コストは許容範囲かと思います。
駐輪場所に関すること
駐輪場以外の路上駐輪や、人目の届かないような場所はできるだけ避けましょう。ただし人目があっても他人に無関心な人が多い昨今、安心はできません。
ここでの鉄則は:
- 管理の行き届いた駐輪場を選ぶ
- 毎日同じ場所に停めない
- 自宅の敷地内でも油断しない
鉄則7:管理の行き届いた駐輪場を選ぶ
できるだけ以下のような駐輪場、場所を選びましょう。、- 死角がないこと
- 地球ロックができること
- 照明が設置されていること
- 防犯カメラが設置されている。または監視員がいること
鉄則8:毎日同じ場所に停めない
通勤、通学では毎日同じ駐輪場に停めておくケースがほとんどだと思います。同じ場所で、同じ時間ずっと置かれているといった行動パターンが泥棒に読まれてしまうと、やはり狙われる確率が高くなってしまうと思います。できるだけ頻繁に停める場所を変えるようにしましょう。
鉄則9:自宅の敷地内でも油断しない
実は、自転車盗難の発生場所でもっとも多いのが意外にも住宅の敷地内なんです。つまりは自宅の駐輪場ですね。自宅だと安心して鍵をかけていないことって、結構ありませんか?そこが狙われてしまうのでしょう。
平成27年中の「自転車盗」の発生場所で最も多かったのが「住宅」の敷地内や駐車場での発生で全体の約4割を占めており、次いで、道路上、駐車場・駐輪場の順となっています。
また、約4割がキーをつけたままの状態で被害に遭っています。
自宅だからと安心せず、柱などにしっかり地球ロックすること。センサーライトなどを設置するのも効果的でしょう。
これは単に自転車泥棒への対策にとどまりません。自宅の自転車に対しても高い防犯意識を示している家には、きっと空き巣も入りにくいはず。逆に言えば、こうしたところがルーズだと空き巣に狙われやすい・・・かも。
ここまで、盗難防止のためにぜひ実践していただきたい9つの鉄則を見てきました。しかし防止策をいかに完璧に実践していたとしても、盗難を100%防止することはできません。
以下は、盗難に遭ってしまった場合への備えです。是非こちらもご覧ください。
必ず防犯登録をしよう
自転車の防犯登録はもちろん盗難を未然に防いでくれるものではありませんが、盗難の被害に遭って乗り捨てられた場合などの早期発見、返還に役立ちます。平成5年に改正された「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」(平成6年より施行)により、現在では自転車の利用者に防犯登録が義務付けられています。
自転車店からの購入であれば同時に防犯登録もしてくれると思いますが、通販やリサイクルショップでの購入の場合は自分で登録する必要があります。
残念ながら盗難にあってしまったら
有り難くないことですが、防犯登録が役立つときです。次の書類を用意して近くの警察署または交番に被害届を提出します。これらが無いと被害届が受理されない場合もあるそうです。防犯登録番号や車体番号などをひかえていない方は、早速、メモあるいは写真をとっておきましょう。
なお、自治体によっては、盗難届の受理日以前に放置自転車として撤去された場合、所定の保管料等を請求されることもあります。
また、盗まれた自転車が犯罪に使われていたりすると、あらぬ疑いがかけられる可能性もありますので、盗難届はできるだけ早いうちに出すようにしましょう。
被害届が受理されると、全国手配されますので、日本国内にある限り見つけてもらえる可能性があります。これ、結構すごいことですよね。
逆にちょい乗り犯だったりすると、近所で見つかることが結構あるそうです。自分自身で見つけたり、近所の知り合いが見つけて持ってきてくれたり。
この場合に注意すべきことですが、すでに被害届を出していたら、見つかった旨を直ちに警察に届けないといけません。でないと盗難車に乗っていることになるので、自分自身の自転車とはいえ、厄介なことになりかねませんよ。
自転車用の盗難保険もある
例えば次の保険では、盗難だけでなく、事故などで自転車が損害を受けた場合も補償を受けることもできます(自損事故も含まれます)。>> 自転車の盗難や事故による損傷をカバーする『ずっと自転車盗難車両保険』
気になる保険料ですが、補償金額(車両+パーツやアクセサリーも対象)ごとに次のようになっています。この損害補償レベルは最も手厚い内容ですが、レベルを下げて保険料を抑えることもできます。
補償金額 | 盗難のみ | 盗難+損害 |
---|---|---|
10万円 | 2,900円 | 5,067円 |
5万円 | 1,450円 | 2,533円 |
2万円 | 557円 | 983円 |
加入できる条件に、90日以内に購入したものに限る というのがあるので、残念ながら私は今の自転車で加入することはできません。
もし自転車を買い替える機会があれば、ぜひ利用してみたいと思います。
事故でぶつけられた時は相手に補償してもらえばよいですし、あまり無茶な運転はしないので、とりあえず、盗難保険だけで。
保証金額が現在の自転車と同じく5万円とすると、年額1,450円。安心料としては 結構リーズナブル かな、と思います。
自転車泥棒はもっとも身近な犯罪
次の数字は2013年(平成25年)の統計によるものですが、いかに自転車の盗難が日常茶飯事であるかがわかります。- 全国の自動車盗難件数は1年で30万件
- 1日あたり800件近く
- 全刑法犯罪のおよそ1/3を占める
これは被害届を基にした統計でしょうから、あきらめて届を出していないものや、部品レベルの盗難も含めればもっと大きな数になるでしょう。
通常、自転車の盗難ぐらいでは警察が積極的な捜査をすることはありません。職務質問や放置自転車があったときにチェックするくらいです。
被害者としてはもっとちゃんと探してくれよ~と思いますが、これだけ頻繁に起きているのですから無理もないですね・・・
おわりに
最後にもう一度、自転車の盗難防止の鉄則ポイントをおさらいしておきましょう。- 複数ロックは効果的
- できるだけ地球ロックをすること
- 短い時間でも必ず施錠すること
- 鍵が壊れたらすぐに対処すべし
- チェーン錠がおすすめ
- 小物はできるだけ外して携帯
- 管理の行き届いた駐輪場を選ぶ
- 毎日同じ場所に停めない
- 自宅の敷地内でも油断しない
駐輪場にはたくさんの自転車があります。防御の甘いものの方がどうしても被害にあう確率が高くなるでしょう。
一つ一つの対策は完璧に盗難を防止できるわけではありませんが、いくつも積み重ねてできるだけ隙をつくらないようにするのが大切です。
結局のところ、自己防衛が基本です。自転車盗難はいつ、どこで起こっても不思議ではありません。自分の自転車はボロだから大丈夫だろうとか、いつも停めている場所だから大丈夫などと安易に考えず、しっかり自己防衛していきましょう。
自転車泥棒というのは、「犯罪」という氷山の一角だと思います。
つまり自転車だけの問題ではなく、こうした軽微な窃盗が頻発しやすい地域ではより重大な事件も起きやすいということにつながっていきます。
地域の安全安心は一人一人の防犯意識から。自転車もしっかり対策していきましょう。
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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