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カスピ海ヨーグルトの危険性 家庭で簡単に植え継ぎができ、酸味が少なくまろやかで美味しいと人気のカスピ海ヨーグルト。

免疫機能UPや整腸機能などの効果が期待される健康食品としても注目されています。

しかし素人が家庭で作るとなると、安全性や危険性など、いろいろ気になりますよね。

以前のブームの際には、末端では種ヨーグルトが個人間で受け渡しされていたので、途中で雑菌が混入しやすく、失敗も多々あったようです。でも最近では、専門メーカーで製造管理された種菌が、誰でも手軽に入手できるようになり、作りやすくなってきました。

とはいえ、危険性はゼロではありません。口に入れるものですから、やっぱり用心するに越したことはないですよね。

本記事では、カスピ海ヨーグルトにまつわる危険性について、次のようなポイントを取り上げていきたいと思います。

  • 雑菌の混入
  • 賞味期限
  • 食中毒
  • 摂取量の目安

それでは、一緒に見ていきましょう!


その前に・・・
カスピ海ヨーグルトの基本的な作り方について押さえておきたいという方はこちらの記事をどうぞ。



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雑菌の混入

ヨーグルトを手作りする上で最も注意すべき危険性として、 雑菌の混入 があります。

雑菌が混入しやすいポイントは以下の4つ。

  • 使用する容器
  • 牛乳
  • 食べ残しに牛乳を加えて植え継ぎすること
  • 何代も植え継ぎを続けること

使用する容器

使用する容器やスプーン等をしっかり殺菌処理しましょう。

一般的には、熱湯消毒(熱湯をかける)をすることが多いと思いますが、その方法ですと、お湯がかかっていない部分があるかもしれないですし、お湯が直接かかった場所と流れていく所では温度も違います。一瞬かけ流すだけでは、菌を充分に死滅できないこともあります。

なので、私は電子レンジを使った蒸気による加熱殺菌を行っています。ヤケドの危険性が少ないですし、熱湯消毒より長い時間加熱できるので、確実・簡単に殺菌できます。

容器の中に150cc程度の水をいれ、軽くフタを載せて、電子レンジで沸騰させ、30秒以上、蒸気で殺菌します(800Wで2分ちょっとぐらい)。

スプーンはできたお湯をしっかりとかけて熱湯消毒します。


一番確実なのは、煮沸消毒(ナベの中で煮る)だと思いますが、たくさんお湯が必要になっちゃいます。そこまでは必要ないでしょう。

また、消毒した後に内側を布巾等で拭かないでください。きれいに見えても布巾にも雑菌がついていますからね。少しぐらい水滴がついていてもヨーグルトづくりには問題ありません。


容器の消毒は面倒くさくてイヤ、という方は、牛乳パックを使う方法もあります。

その他の注意事項
■ 容器を電子レンジにいれて加熱する場合、フタは絶対に固く締めないで。蒸気で爆発してしまいます。

■ また、電子レンジが停止したら、すぐに取り出してフタを外してください。フタが密着した状態で放置していると、内部の蒸気が液化して内気圧が下がり、フタが外せなくなったり容器が変形してしまうおそれがあります(経験アリ)。

牛乳

未開封の、できるだけ新しい牛乳を使いましょう。

牛乳は工場でしっかり殺菌処理されていますが、いったん開封してしまうと、どうしても雑菌混入の危険性が高まってしまいます。できるだけ開封直後の牛乳を使いましょう。

また、賞味期限が短いものよりは、まだ長く残っている方がベターなのは言うまでもありません。

食べ残しに牛乳を加えて植え継ぎすること

先に食べ始めて、最後の残りを種とする方法ですと、雑菌が混入する可能性が高まります。

この間は冷蔵庫に保存されているでしょうから、食べきるまでの間は問題ないでしょうが、種ヨーグルトとして常温で発酵させる段階で、混入した雑菌が繁殖してしまう可能性があります。

ヨーグルトが出来上がったら、食べるより先に次のヨーグルトづくりのための種ヨーグルトを確保するようにしましょう。

何代も植え継ぎを続けること

ヘンな味がして食べられないなど、あきらかな失敗をしない限り、何代でも植え継ぎをしたくなると思いますが、定期的なリセットをおすすめします

メーカー(フジッコ)としては三か月、できれば一ヶ月ごとの種菌の取り換えを推奨しています。

わたしもかつては1年以上ずっと植え継ぎを続けたこともありますが、現在ではそれを改め、三か月ごとにリセットしています。


仮に充分な注意をして、明確な失敗がなかったとしても、乳酸菌が弱ったり雑菌が勢力を増していって徐々に変質していく危険性があるのも事実です。

次のような研究結果もあります。

カスピ海ヨーグルトは、市販の牛乳に手渡しで広まった「カスピ海ヨーグルト」を混ぜ、一昼夜室温で置くだけでできる手軽さと、従来のヨーグルトとは違った独特の粘りとさっぱりした味わいが人気の要因の一つでありまた、クレモリス菌が生産すると言われる粘性多糖類の免疫賦活効果も期待されている。

しかし、本実験の結果からも分かるように、保存法や発酵条件、環境によって、大きく菌叢が変わってしまうことが予想され、期待される健康的効果が失われる可能性もある。従って、植え継ぐ際には、カスピ海ヨーグルトに合った良い条件で植え継ぐ必要があり、衛生面・安全面において十分な配慮が必要と考える。

(兒玉 成一、安隨 ゆき枝、熊川 裕子「家庭で植え継がれたカスピ海ヨーグルト」千里金蘭大学紀要, 55-60, 2005)
下線強調:当ブログ管理人



この研究によると、各家庭で植え継がれた6種のカスピ海ヨーグルトについて比較したところ、組成の違いが認められ、それが香味や食感にも影響したということが示されています。

たしかに、知らず知らずのうちに菌が変な方向に行っちゃうのはイヤですよね・・・

行きつく先は造り酒屋とか味噌蔵みたいに、「その家独自の菌が生きてる」という状態なのかもしれませんが、我々一般人には、それが安心・安全な状態なのか、危険性はないのか、確認するすべはありません。


失敗してないのに種をリセットするなんて、正直なんとなくもったいない気もしますが、そこは安心料とわりきりましょう。

実際、コストはたかが知れてると思いますよ。それぐらい、手作りカスピ海ヨーグルトのコスパが良いということでもあります。

■ 粉末種菌はネットでも購入できます


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続きまして、出来上がったヨーグルトの賞味期限について。

賞味期限はどれくらい?

工場で作られたヨーグルト製品であれば、パッケージに賞味期限が記載されていますが、では手作りしたヨーグルトの場合はどうでしょうか?

フジッコによると、出来上がったヨーグルトは冷蔵庫に保存して1週間以内に食べきるのが良い、とされています。種ヨーグルトとして使うのも同じ基準で考えて良いそうです。

個人的には、使用した牛乳の賞味期限内であること、という条件も加えて期限とするようにしています。


もちろん、上記の期間は適切に保存されたものであることが前提です。

適切な保存方法とは

常温、冷蔵、冷凍 における保存方法について考えてみましょう。

いずれの状態でも、雑菌が入らないよう、密閉しておくべきであることは共通しています。冷凍状態とて雑菌は存在してますからね。

常温

保存というより、発酵させるために常温で一定時間、キープする必要があります。できるだけ揺らさないようにして安置します。

発酵のための温度は20℃~30℃が適温です(工場では27℃に管理されているとのこと)。

気温や種の状態によって異なりますが、半日から長くても2日間以内に固まってヨーグルトとなります。暖かい時の方ができあがりは早いです。

固まったかどうかは、容器を少し傾けてみて確認します。牛乳が固まったらヨーグルトのできあがりです。早めに冷蔵庫に入れるようにしましょう。

冷蔵

常温ではまだ柔らかい状態ですが、冷蔵することで硬さが増します。

次の代へと植え継ぎを続けるために、食べ始める前に、まず次の種ヨーグルトを取り出しましょう。私は、このタイミングでもう一つの容器を使って次の植え継ぎを始めます。

冷蔵庫での保存期間は、基本的に1週間または使った牛乳の賞味期限以内とし、それまでに食べきるようにしています。

冷凍

種菌(種ヨーグルト)として長期保存したい場合に冷凍も可能です。

冷凍状態での保存期間ですが、ネットには1年後でもヨーグルトができたという情報があったりしますし、私自身も以前に3か月ぐらい冷凍保存した種ヨーグルトを使って植え継ぎをしたことがありました。

食べた限りでは問題なかったと思いますが、菌の状態が健全なものだったかどうかは何とも言えません。

フジッコによると、冷凍保存期間の目安は1か月としています。あまりチャレンジすべきところではないと思いますので、安全運転にしておいた方が吉かと思います。

なお、冷凍したものを解凍する際は、冷蔵庫内で自然解凍させます。急ごうとして湯煎したり電子レンジを使ったりすると大事な菌が死滅してしまいますので厳禁です。

解凍すると、固形分と液体分が分離します。一瞬、「ヤバくね?」と不安になるぐらいの見た目になっちゃいますが、大丈夫です。一緒に種ヨーグルトとして混ぜて使ってください。

ただ、解凍したものは食べても美味しくないので食用には向かないと思います。冷凍保存はあくまでも種用ですね。

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食中毒の危険性

食べる時に一番怖いのが食中毒です。

雑菌やカビなどが混入したり、腐敗したものを食べると、下痢・腹痛・嘔吐・発熱・脱水症状 などを引き起こす恐れがあります。

同じものを食べても人によって症状に差があることもあります。体力がある成人では症状が軽かったとしても、抵抗力の弱い子供や高齢者では重症化するかもしれませんから、注意が必要です。

こんな状態になってたら食べてはいけない

食べようとしたとき、ヨーグルトが次のような状態だったら、もったいないですが、同じ容器内のすべてを処分しましょう。種菌としても使うのも当然ながらNGです。

  • 酸っぱい味がする(カスピ海ヨーグルトは酸味が少ないのが特徴です)
  • チーズっぽい臭いがする
  • 白や黒や青や赤などのブツブツ(カビ)が生じている
  • 全体が変色(黄色や赤っぽく)

とにかく、少しでも異常を感じたら食べるのはやめましょう。

カビなど、目に見える異常の場合はそこな部分だけを取り除けば大丈夫じゃね?と思うかもしれませんが、容器の中には仕切りは無いのですから、目に見えない雑菌やカビの胞子が全体的に広がってしまっていると考えるべきです。

私自身は、一度だけ、真夏に2日半ほど常温で放置したときに異常な臭いを感じたことがありました。過剰に発酵し、腐敗してしまったんだと思います。もったいないですが、全て廃棄しました。

水分が分離した場合

なお、正しく保存されているのに、水分が分離することがあります。透明できれいな水分なら、おそらくホエー(乳清)が分離しただけと思われます。食べても問題ありません。

お好みでなければ捨てても良いですけど、良質なたんぱく質が含まれた有効な成分です。混ぜれば元通り、粘り気のあるカスピ海ヨーグルトに戻りますよ。

我が家ではよくホエーをワンコにあげてますが、喜んで食べて(なめて)くれます。


食べ過ぎ注意-摂取量の目安は?

ヨーグルトをはじめとする乳製品は、効率よくカルシウムを補給できる食材とされています。特に骨密度が低下しやすい成人女性は積極的な摂取が推奨されています。

また、乳製品の摂取割合を増加させることで、抗肥満効果(メタリックシンドロームを抑える働き)が見られたという報告もあります。

とはいえ、むやみに大量に食べて良いというものでもありません。

食べ過ぎの弊害

食べ過ぎの弊害はいろいろ考えられます。代表的なものをいくつか見ていきましょう。

肥満

加糖されたものはもちろん、プレーンのヨーグルトでも、食べ過ぎはやはり肥満の原因となります。

ちなみにプレーンヨーグルトのカロリーは:
100g あたり 約60kcal 

これ、ゼロでない従来のコカ・コーラなら133ml程度に相当します。

冷え性

ヨーグルトは保存のために普段冷蔵庫に入れて冷やされてますが、冷え性の人が冷たいものをたくさん食べると、冷え性を悪化させることにもつながります。

そんな時は、少し温めて”ホットヨーグルト”として食べるのがおすすめです。

温めたヨーグルトは腸を元気にして、体を温めてくれますから、冷え性の方でなくても冬の寒い時期にはよさそうですね。

ただ、温めてからすぐ食べるなら問題ありませんが、放置すると雑菌が繁殖する恐れがありますのでそれだけはご注意くださいね。

便秘の原因?

ヨーグルトは整腸効果があって、便秘の人にはおすすめ!とよく言われますが、一方で、便秘の原因となるという説もあります。

真逆のことを言ってるようですが、はて、どっちが本当なんでしょう・・・


個人的には、次のような可能性があるのかなと考えています。

いわゆる乳糖不耐症の方は、乳糖を分解する酵素が足りないため、冷たい牛乳をたくさん飲むとおなかが緩くなります。

一方、ヨーグルトは、乳糖の一部が既に分解されており、また含まれる乳酸菌が体内での乳糖の分解を助けてくれるので、乳糖不耐症の人でも下痢を起こしにくい乳製品です。

仮に便秘症かつ乳糖不耐症の人が、牛乳の代わりにヨーグルトを食べるようになったとしたら・・・
牛乳を飲むことで下痢気味になって排便できていたものが、ヨーグルトを食べるようになったことで腸内環境が整い、お腹が緩くならなくなることで便秘「気味」になった、なんてことがあるかもしれません。

つまり、便秘になったというというより、腸の調子がよくなっって、下痢がおさまったのではないか、ということです。


もし、その通りであるとするなら、腸内環境を元のように悪化させることで、乳糖不耐症のおかげで便通は改善するかもしれませんが、腸に負担をかけることにもなるので、はたして良いことなのか疑問ですね。



続きまして、一日当たりの摂取量の目安はどれぐらいか見てみましょう。

ヨーグルトの一日の摂取量の目安は?

2020年版の食事摂取基準によると、成人の1日のカルシウム推奨量の目安は、

男性
800mg(18~29歳)、750m(30~74歳)、700mg(75歳以上)

女性
650mg(18~74歳)、600mg(75歳以上)

とされています。妊婦さんや成長期の子供はもっと多めでも良いようです。


ヨーグルトのカルシウム含有量は 100gあたり120mg です。カルシウム摂取量をすべてヨーグルトで摂るとすると、単純計算で一日あたり500g~700gということになりますが、個人差があるし、他の食材をどれくらい摂るかによって違いますが、ざっくり、

一日当たり200gぐらいを目標にすると良いようです。

スーパーでよく4個連結の形で売られているヨーグルトなら1パックあたり約75gです。これであれば1日2~3パックぐらいが適量ですかね。

おわりに

カスピ海ヨーグルトは、美味しくて、食べると色々な健康効果が期待される人気の食品です。

家庭でも簡単に植え継ぎできることも大きな魅力ですが、自分や家族が口に入れるものですから、その危険性や注意事項を十分に理解した上で取り扱うことが重要です。


そんなわけで、今回は、手作りカスピ海ヨーグルトにまつわる危険性や注意点として、

  • 雑菌の混入
  • 賞味期限
  • 食中毒
  • 摂取量の目安

といったことについて考えてみました。


今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


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