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黒板
学生時代、英語は割と得意科目でした。単語や熟語、そして現在完了の4K(完了、経験、結果、継続)の分類などもよく暗記したもんです。

でも、特に現在完了形については本質的な部分が理解できてなくて、なんかこうスッキリしないというか、できればお近づきになりたくないと感じていました。

現在完了形はどんな時に使ったら良いんだろう?

過去形との違いが不明・・・

日本語にすると過去みたいだけど、なぜ “現在” で “完了” なの?

「現在完了は『過去のある時点から現在までの状態』を表します」っていわれてもピンとこない

ずっとそんな印象を持ったままだったので、英会話する機会があっても自分から進んで使うことはほぼありませんでした。

現在完了がそんなですから、現在完了進行形や、過去完了形なんかももちろん苦手でしたね。

迷子 受験英語から離れて数十年たったころ、仕事で英語が必要になったりしたので、しばらく英会話教室に通いました。

そこであらためて現在完了形について教わったんですが、まさに目からうろこ。「何を伝えたいのか」という視点を教えて頂き、ようやく現在完了形の姿がはっきりわかったような気がしました。


そこで今回は、その時に教えてもらった、

  • 現在完了形で伝えたいことは何か
  • 過去形との違いは?

といったポイントについてお伝えしてみようと思います。

難しい文法ワードは使わず、図解やできるだけ簡単な日本語で解説していきますので、安心して見ていってくださいね!

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現在完了形は何を伝えたい時に使うの?

私が目からうろこと感じたのは、

  • 現在完了形で伝えたい・focusしたいのは、あくまでも 現在のこと であり、
  • その現在のことに影響をおよぼす過去の状態や行動について言及している
という説明でした。

横軸を時間軸としてイラストに書くと次のようなイメージです。

現在完了のイメージ



例えば次のような会話があったとします。
今話題のディズニー映画みにいこうよ

パンダ
僕はその映画を見たよ


パンダさんのセリフは、日本語の形からすると、単なる過去形ですよね。

しかし、英語ではここで現在完了形が使われることがあります。

英語が堪能なパンダ
I have watched the movie.


その場合、このパンダが伝えようとしている「現在のこと」とは、

「今日は別の映画を見たい」

という気持ちで、それを言外に伝えようとしているのでしょうね。

その気持ちの原因となるのが、

「過去にその映画を見ちゃった」という経験があるから。



もう一つ別の例をあげましょう。
パンダ
お金貸して

財布を無くした


この場合の猫さんの言葉、これも日本語では単なる過去形のようになってますが、英語では現在完了形を使って、次のように言うことがあります。

英語が堪能な猫
I have lost my wallet.


その場合に「伝えたい現在のこと」とは、「今お金を貸せない」ということであり、その原因として「過去に財布を無くした」ということ、そしてそれが現在に影響していることを示しています。

現在完了の4K(完了、経験、結果、継続)とは何だったのか

英語の参考書には、現在完了と言えば4K(完了、経験、結果、継続)という用法があると説明されてますよね。

そして次のような用法ごとの例文も。

  • 完了(本読みを完了した状態である)
     He has already read the book.

  • 経験(中国に行った経験がある)
     She has been to China.

  • 結果(今何時?と聞かれて→時計を無くした結果、時間が判らない)
     I have lost my watch.

  • 継続(8時から今まで勉強を継続している)
     I have studied here since 8:00.

  • テスト前には「カンリョー、ケイケン、ケッカ、ケイゾク」って、指折りして覚えたもんです。

    でも、今となっては、こんな分類は覚える必要は無いと思ってます。受験英語はさておき、少なくとも、英会話をする上では。


    つまり、過去の事が現在にどのように影響しているのかを「語学」として分類しているだけのことで、実際に言葉を話すときにはいちいちそんな分析、しないですよね。

    いずれも過去(から)の事象が、現在につながって影響していることが共通概念であり、それが現在完了形の基本的な「伝えたいこと」であると、理解しておけば良いのではないでしょうか。

    過去形との違い

    もちろん、日本語で過去形の文章を英語に翻訳にする時は、過去形にするのが普通です。しかし上の例のように現在完了形になることもあるということで。

    そんなことで、日本語では過去形で表現されることを、英語では過去形はもちろんのこと、現在完了形が使われる場合もある。だから、過去形と現在完了形の区別が分かりにくくなっちゃうんですよね。


    いわゆる過去形は past simple つまり「単純過去」とも言われます。文字通り、単に過去のことを述べているだけです。

    さっきの例で、過去形を使って

    I lost my wallet.

    とすると、「過去に財布を忘れた」と単純に言っているだけで、それが現在に影響しているのかどうか明確になりません。

    まあ、会話として意図は通じるとは思いますけどね。

    ただ、1年前になくしたことを言っているかもしれないので、
    「1年前に財布なくしたけど、今は持ってるから大丈夫」という状況もあり得るわけです。


    一方、現在完了形で

    I have lost my wallet.

    と言えば、過去に財布をなくした状態が現在まで継続し、現在に影響している、という意図が明確になるのです。


    大事なポイントなので繰り返しますね。

    現在完了形 と 過去形 のちがいは、focusすることが「現在のこと」か、単純に「過去のこと」か、ということです。

    仮に昔の旅行の話をしていて、途中で財布を落として困ったという話をするときは、完全に「過去に財布を落とした」という事実にfocusがありますから、単純過去が使われます。

    その財布が現在までずっと見つかっていないという事情があったとしても、その現在のことにfocusするのではなく、単なる旅の思い出話の一つとして過去の時点にfocusする限りは、過去形なんです。

    日本語には現在完了形が無くて過去形しかないから英語より劣ってるの?

    そうすると、現在完了形が無くて過去形しかない日本語は劣ってるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん、そんな優劣はないと思います。

    コミュニケーションとして伝えようとする概念は英語だろうが日本語だろうが変わりはないはずです。


    英語には現在完了形という構文があって、日本語にはそうした構文が無いというだけのこと。


    日本語での会話の場合は、日本語なりの表現や文脈などによって同じ概念を伝えることができてますから、ご安心くださいね~

    受験英語の定番!
    過去を表す語句との相性

    以上のように現在完了形の焦点はあくまでも現在のことにありますから、過去のみを示す言葉とともに使われると違和感が生じます。

    もし、過去から現在までずっと継続するシチュエーションなら、since を使って過去から現在までの継続をあらわすことができます。

    例えば、
    「昨日から現在までずっとDVDを見続けていた」という文章なら、sinceを使って、

    I have watched the DVD since yesterday.(きのうからずっと現在まで)

    とするのは正しい文章です。言外には、(だから、現在とても疲れている)という感じですかね。文脈にもよりますが。

    “yesterday”だけですと、「昨日」という過去のある時点だけを示しますが、”since yesterday”なら、「昨日から現在までずっと」という現在を含む期間を示すことになり、現在完了の文章で使っても違和感がなくなるのです。


    では、過去の言葉とともに現在完了形にするなら全部 since をつければよいか、といえばそうでもありません。sinceにはどうしても「継続」という意味合いがはいってくるので。

    例えば、先週その映画を1回だけ見た状況で、それを現在完了形にしようとして

    I have watched the movie since last week.

    とやってしまうと、先週からずっと現在まで映画をみている(継続)ということになって、どんだけ映画中毒やねん!ということになってしまいます。


    過去のある時点だけを表す語句といっしょにしたいなら、基本的には過去形にすべきです。

    「僕は先週その映画を見た」なら、

    I watched the movie last week.

    とすべきで、そのあとに現在の心境

    So, I don’t want to watch it now.

    を付け足す方が自然な会話になると思います。

    英語だからと無理に現在完了形という構文を使わずとも、このような日本語と共通する言まわしの方が自然な場合もあります。

    実際、nativeの人でも、このあたり適当に現在完了形の中で過去の語句を使うこともよくあったりします(「受験英語」としてはダメですけど)。

    もう1つのハードル
    ~現在完了進行形とは

    現在完了だけでもよくわからない上に、さらにingまでついたらどうなるの?

    構文としての現在完了進行形

    have been + ~ing

    現在完了形に進行形がくっついただけですから、その行動が今現在も進行中であることを強調する文になります。

    図にすると次のようなイメージ。

    現在完了進行形のイメージ


    先ほどの例だと、

    I have watched the DVD since yesterday.
    (昨日から現在までずっとDVDを見ていた)

    ですが、そこで進行形を使えば、今もずっと続けているという「継続」のニュアンスが強調されます。

    I have been watching the DVD since yesterday.
    (きのうから現在までず~~っとDVDを見続けていた)

    だから、今すごく眠い/疲れてる といったニュアンスが言外に伝わってきますね。

    他の完了形

    ここまできたら、ついでに他の完了形についても押さえときましょう。

    基本はやはり
    伝えようとfocusするのはどの時点か
    ということです。

    過去完了形

    では過去完了形はどうでしょう。考え方は同じです。

    構文としての過去完了形

    had + 過去分詞

    これは伝えたいことのfocusが過去のある時点にあり、その原因がそれよりさらに過去のことや行動である、ということですね。

    イラストにすると次のようなイメージ。

    過去完了形のイメージ


    When I went to the store, I had lost my wallet.
    (お店についたとき、財布を無くしていた)

    (過去である)お店につく時点ですでに財布が無かった、ということがfocusされていて、その前にいつ無くしたかわかんないけど、ということが伝わってきます。

    未来完了形

    調子が出てきたと思いますので、未来完了形もいっちゃいましょう。

    構文としての未来完了形

    will have + 過去分詞

    未来なのに完了してる?とちょっと疑問もあるかもしれませんが、考え方は同じです。

    伝えたいことのfocusは未来のある時点にあります。そして、その原因がその未来の時点より過去の事実や行動だ、ということです。

    図にすると次のようなイメージ。

    未来完了形のイメージ


    This homework will have been completed by tomorrow.
    (この宿題は明日までには終わるだろう)

    明日には宿題が終わっている状態になるだろう、ということがfocusされています。それまでの間のどこかのタイミングで終わるかは知らんけど、って感じですかね。

    なお、ここで使われている by は、未来のある時点までの「継続」を表しています。先ほどの since と同様に、時制を表す言葉を完了形内で使う場合のキーワードの一つになります。

    おわりに

    現在完了形という構文とは何ぞや。

    昔学んだ4K(完了、経験、結果、継続)のことを無理やり合わせて考えますと・・・

    過去のことの影響や経験がずっと継続し、focusの時点である「現在」でいったんその影響の区切りをつける、つまり現在までに完了したことによって、その結果がどうであるか、ということを表現している

    って感じかな。


    やっぱり、なんとなく難しい構文ですけれど、ここは単純に、

    伝えようとfocusしているのはどの時点か?

    ということを意識していれば、単純過去との違いは理解しやすいのではないでしょうか。


    受験英語はともかく、英会話では、ネイティブでも過去形と現在完了形がごっちゃになってることも多かったりします。

    どっちでもだいたい意味は伝わりますから、難しく考えすぎず、気楽に Let’s talk! しましょう~



    今回は以上です。
    最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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