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車のドアの静電気
寒くなって乾燥してくると、悩ましいのが静電気

特に車から降りてドアを閉める時、指先に バチッ とくるの、あれイヤですよね。

なぜか私が普段乗っている1box車(セレナ)だとほとんど起きないのですが、家内の軽自動車(デイズ)で頻発します。


車屋さんに相談してみたところ、ある 裏技 を教えてもらえました。

それはお金もかからなくて、とても簡単な方法でした。しかし車屋さん本人も原理がよく分かってない様子だったし、はたしてこんなんでどうにかなるの?と家内も私も半信半疑だったのですが・・・

実際に試してみると、効果アリ!!

これまでの経験でまず間違いなくバチッとくる状況でも、全く発生しません(ほぼ100%)。


というわけで、
今回は以下のような内容を取り上げようと思います。

  • 車屋さんの裏技とは?
  • そもそも降車時に静電気が起きる原因は?
  • 裏技が効く原理はどうなってるの?
  • 誤解や疑問

では早速見ていきましょう!

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車屋さんが教えてくれた裏技

車を降りるときの静電気対策のポイントは

シートから体を離す間、車の金属部分に触り続ける。
(背中だけでなくお尻も離れるまでの間)

たったこれだけで、降車時の静電気問題をほぼ100%防げます。


参考動画がありましたのでお借りします(46秒)。原理的説明はありませんが、実際の動きがよく理解できると思います。



触りやすい場所としては、動画にありますようにドアの横や上の部分でも良いですし、ドアを少し開けた隙間から手を後ろに回して車体に触っても良いと思います。


しかし正直、なんでこんなことだけで静電気が起きなくなるの?って思いません? 私も効果を実際に確認するまで半信半疑でした。

世の中には静電気対策グッズとしていろんな製品が売られてます。静電気が逃がすと光るキーホルダー、触ると静電気を除電できるシール、衣類にかける静電気除去スプレーなど、など。それから、ガソリンスタンドにある「まずここに触れてから給油してください」っていう黒い物体(静電気除去パッド)もありますね。

静電気って、こうしたグッズを買ったりして対策しないといけないものだと思ってたんですが、タダで、しかもこんな簡単な方法で解決できるなんて!

不思議だな~と思うことは原理を知りたくなる理系の血が騒ぎ、色々調べてみました。

車を降りる時の静電気はどうして発生するの?

まずはそもそも・・・
どうして車から降りるとバチッとくるのか、その原因・メカニズムを押さえておきましょう。

降車してから指先とドアノブ(車体)を近づけると、その間でスパークが発生するということは、これらの間に電位差があるということであり、どこかに静電気が溜まっているだろうなということはなんとなくわかります。

そこで湧き上がるこの疑問↓↓

はたしてこの静電気って、どこに、いつ発生したのでしょうか??


静電気と言えば、最もポピュラーな事例といえば、髪の毛に下敷きをこすりつけるあの実験。それから冬場にセーターを脱ぐときのパチパチ

いずれも誰もが経験したことがあると思います。

これらのケース、様子が違う現象のように見えますが、実は同じ原理によって静電気が発生しています。

  1. 基本的に物質は電気的に中性の状態で安定している
  2. 異なる物質が接触するとその表面で電荷が移動する
  3. 摩擦によって電荷の移動が多くなる
  4. 電荷は移動するが界面で+と-が引き付けあい、遠目には中性の状態で安定している
  5. 剥離によってバランスが崩れ、帯電する

この一連の原理については次の記事で解説しています。詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。

静電気■ 関連記事
静電気発生メカニズムを分かり易く解説!出会いと別れの物語をしよう



これを、降車時の静電気に当てはめて説明すると以下のようになります。

あなたも車もそれぞれ電気的に中性で安定している(とします。最初は)
  ↓
あなたが車のシートに着席すると、着ている衣類と車のシートの電気的特性の違いから、物質の表面間で電荷の移動が発生します。
  ↓
身体とシートが摩擦することで、よりたくさんの電荷の移動が起きます。
  ↓
しかしシートに座っている間は、物質の表面間でプラスとマイナスが引き付けあって一体となっているので、安定している状態のままです。
  ↓
降車時、つまりシートと体が剥離するとき、電荷のバランスが崩れます。マイナスの電荷が多い方がマイナスに、少ない方がプラスに帯電します。


つまりクルマと人間、両方とも帯電するわけです。

しかし車の方はサイズがでかい(電気的に言うと容量が大きい)ですし、タイヤから地面に電荷が逃げることもあって、ほとんどアース電位のままです。つまり人が降車することで帯電した電荷の影響はほとんどありません。

一方、人間はふつう靴を履いていて地面と絶縁状態なので、しばらくは 帯電した電荷が抜けず、電気的な容量も大きくはないのでアース電位に対して数Kボルト~数十Kボルトの電圧を持つ状態が続きます。

■「しばらくは」って?
これが乾燥していなくて湿度が高い季節であれば、空気中の水分を介してすぐに大気へ電荷が抜けます。

乾燥している時期はこの現象が期待できないので、帯電状態がしばらく続きます。目安として湿度がだいたい60%~65%以下になると静電気が気になり始めるといわれます。


■ 電荷量と容量と電位差の関係
高校の物理で習ったと思うのですが、この3つには次の関係があります。
Q=C×V
(Q:電荷量、C:容量、V:電位差))
つまり、一定の電荷量に対して、容量が小さいものほど、電位差が大きくなるのです。

アース(中性状態)を基準としてもう少し詳しく説明すると、中性(プラスマイナスの電荷量が同量の状態)よりもQだけ電荷量が多い物体は、アースとの間の容量が小さいものほど、アースとの間の電位差が大きくなる、ということです。

容量は、サイズや物体間の距離とかいろいろで変わってくるのですが、ここでは割愛します。サイズが大きいものほど容量が大きいということだけご理解ください。



話を戻しましょう。

このように、降車後しばらくは人体がアースに対して大きな電位差を持っている状態なので、すぐに車の金属部分に触ろうとすると(車体はアース電位なので)バチッとスパークが発生するのです。


というわけで、降車時の静電気はについての上の疑問に対する答えは:

いつ発生? ⇒ シートから体が離れる時
どこに発生? ⇒ 人体
(車も帯電するが影響は僅か)

ということになります。


デイズで静電気問題が頻発し、セレナではレアだったのは、おそらく座席シートの素材の違いが原因だったのではと考えられます。

セレナには、以下のような木製の数珠状のシートカバーを付けてあるんです。

数珠シート
家族にはおっさんくさいと不評ですが、夏はとても涼しいのでずっと愛用しています。おそらくですが、化繊のシート表面よりこちらの方が静電気の発生が抑えられてるのではないかと思います。

ビリっと来るのは車のドアに限らない

人体が帯電するので、スパークが発生する相手は車のドアに限りません。あらゆる安定電位(アース電位)の導体(金属など)に触るとビリッとくるはずです。

ですから、車で家に帰ってきて車のドアを手で触れずにやり過ごすことができたとしても、すぐに自宅のドアに触れるならそこでバチッとくるかもしれません。

また、セルフのガソリンスタンドで、「給油前に静電気除去パッドに触ってください」としているのはこのためです。給油中にスパークが発生すると大変危険ですので。

裏技が効くメカニズムは?

では、車屋さんに教えてもらったあの静電気対策の裏技はどのような原理で効くのでしょうか。

剥離(体をシートから離すこと)の間に金属部分に触っていることで、人体に帯電するはずの余計な電荷をそのままクルマに逃がすことができる。

こうしてやれば、剥離帯電するのと同時に余分な電荷が逃げてくれますから、最終的には車と人体が同電位に近い状態で剥離が完了することになり、その直後にドアに触ってもビリッときません。

いかがでしょうか?わかってしまえば、あ~なるほどねって感じじゃないですかね?


でも、こうした原理や理屈が解っていないと、次のような誤った対策や解釈をしたりして、失敗する場合がでてきますよ・・・

よくある疑問や誤解

ここから、静電気対策の疑問、失敗事例や疑問等をご紹介します。えらそうに書いてますが、私自身が持っていた疑問や誤解です。

シートから離れる前にいったん金属部分に触ればよい?

誤解のポイントとしては、シートから離れる前にいったん金属に触るけれど、その後のシートから離れるタイミングでは触っていない、という点です。

確かに、降りる直前に触ればそれまでに偏在している電荷がいくらか逃げるでしょうから、帯電量が減ってビリっとこないかもしれません。

しかし、シートと衣服の界面で安定的になっている電荷は抜けませんし、その後にシートから離れるまでの間に帯電することになりますから、失敗もありそうです。

シートから離れてから金属部分に触るのは良い?

これって、帯電した後に金属に触るってことですから、まさに従来通りに車から降りてドアでスパークするのと同じ状態ですね。まさに「飛んで火にいる夏の虫」。バチッとくる可能性が高いです。

シートから体を離す前から金属部分に触り始め、離れ終わるまで触り続ける必要があります。

「ドアを開けてから、地面に足を下ろすまで、金属部分に触り続ける」は正しい?

最初にご紹介した動画でもまさにこうした説明をしていますし、他のネット情報でも類似の解説をしているのを見かけます。

しかし「ドアを開ける」とか「足を地面におろす」というのは形式的というか動作的には合っているとは思いますが、原理的には正確ではありません。原理的には、シートから体を離す間、車の金属部分に触り続ける」が正しいです。

形ばかり真似て、原理を理解していないと、応用問題では失敗する可能性があります。


まず、地面に足をつけるという行為自体について。もし 静電気対策用の靴(導電性がある特殊な靴)を履いているのなら、地面に足を下ろせば電荷が抜けてくれますので意味があるでしょう。しかし、通常の靴であれば地面とは絶縁状態ですので電荷は抜けません。静電気対策としてはほとんど無意味です。

また、普通車でも車高が低いクルマだったりすると、足が地面についてもまだシートに座ってる状態のままというケースもあるでしょう。その場合、足が地面に着いたからといって金属部分から手を離してしまい、それからシートから離れるという順序になれば、身体は帯電してしまいますね。

それから、「ドアを開けてから」を開始ポイントとしてしまうと、1box車の後部座席とかバスのように、座席シートとドアが離れている場合だと、シートから体を離して既に帯電してしまってから金属部分を触ることになるので、その時にビリっとくるかもしれません。


・・とはいえ、「ドアを開けてから足を地面に降ろすまで」というのは、一般的な自動車での動作をイメージしやすい表現だと思います。原理は原理として理解した上で、動作のイメージとしてこう表現するのであれば良いと思います。

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クルマの方に静電気対策をすれば良いんじゃないの?

なるほど。
「車はゴムのタイヤを履いているので地面(アース)とは絶縁されていて、走行中の空気との摩擦で帯電する・・・」というような話を昔聞いたような気がします。ですから、車の方が帯電しているんじゃないの?とお考えになっても無理はないでしょう。

そういえば、昔、車のアクセサリーとして「しっぽ」を付けるのが流行りましたね。あれは確かアースベルトと言って、静電気対策という実用的な目的があったはずですが、今ではほとんど見かけません。

確かに、車は走行中に空気との摩擦によって帯電します。が、実はしっぽなどつけなくてもタイヤから除電されているのです。イマドキは。

最近のタイヤはゴムの中にカーボンなどの導電材料が配合されていて、常に地面に対してアーシングされています。ですから、しっぽを付ける意味がなくなってきているんですね。

つまり、車にアースベルトを付けたりしても、本件で課題になっている静電気対策にはなりませんあくまでも、人間が帯電してしまうのが問題なのです。

シートから体を離す前から金属部分に触れろとのことだけど、その際にバチッとこないの?

確かにずっと乗車していたらシートと背中が摩擦しているから、それによって既に静電気が溜まっていそう。その状態で金属に触れるのは、なんだか ちょっと怖いですよね。

ですが、まだあなたはシートに接触している状態ですから、シートと同じ電位です。

接触面ではプラスとマイナスが引き付けあって中性となりますし、たとえすこし身体を動かしたりして、部分的に剥離帯電してアンバランス状態になっても、座っていればすぐに電荷が移動して中性をたもちます。(電荷が動くかって?そもそも電荷が移動する物質間だから静電気が発生するんですよ)

基本的には車内で車と接触している間は、人と車は全体として同じ電位と考えてよいと思います。

ですので、シートに座った状態で車の金属部分に触れてもビリッとこないはずです。

おわりに

冬場の車の静電気対策について考えてみました。

毎年この時期になると結構悩ましかったのですが、車屋さんから効果100%の裏技を教えてもらい、助かっています。

最初は不思議でしたが、原理が理解できたことで、ツボを外さないで実行できるようになりました。



なお、ドアを開ける時には、
静電気対策にばかり気を取られていないで、後方の安全確認をおろそかにしないようにしましょう。


特に自転車との接触は重大な事故につながる場合がありますので、十分にご注意願います。


今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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