Pocket



雷の音って、あらためて考えると不思議なことがいろいろありますよね。

ピカッと光る稲妻は一瞬なのに、音はゴロゴロ・・・と長くて低い音で鳴り響くのがなぜか。ヤマビコのせいだとしても長すぎますし、そもそも山なんかない所でも響くし。

比喩として「カミナリを落とす」という言葉がありますけど、近くに落雷があった時って、まさにそんな感じ。カッとして烈火のごとく怒っているみたいな。

一方、遠くの雷鳴の場合は、ゴロゴロゴロと静かに怒りを貯めているようなイメージ、があります。

これらの雷の光や様々な音の違いは、もちろん、もとを辿れば雷という同じ現象から発生したもののはず。本当に不思議ですよね。


私が昔から雷の音について抱いていた疑問をまとめますと……
  • 稲妻は一瞬なのに、雷鳴の音が長いのはなぜ?

  • 近くの落雷だと カッ と甲高い音なのに、遠くの雷鳴だと ゴロゴロと低い音がするのはなぜ?

  • 均一な音でなく、なぜゴロゴロと響くの?しかも雷によって鳴り方が違うのはなぜ?

今回は、これらのナゾについて考えてみたいと思います。

「雷様のおなかが鳴っているんだよ」という答えではもう納得できないアナタ、ぜひお付き合いくださいね!!

スポンサーリンク



Youtubeに雷が落ちたときの動画がありましたのでお借りします(1分25秒)。

最初は遠くでゴロゴロ鳴っている感じですが、1分10秒のあたり、白いクルマが目の前に走ってきたタイミングで近くに雷が落ちます。



そもそも、雷のあの大きな音がなぜ発生しているかについて気になる方は、関連記事の方で詳しく説明していますので、そちらをぜひご覧ください。

■ 関連記事
> 雷の音はなぜあんなに大きいの?空で大きなパンクが起きてるからだよ


では、雷のゴロゴロについての謎、ひとつひとつ解き明かしていきましょう!

Q.雷鳴の音が長いのはなぜ?

A.雷の放電路がランダムに広がるため、各部分から音が伝わるのに時間差が生じるからです。

storm
雷の進行方向はランダムにあっちいったりこっちいったりするので、観測者から各放電路(稲妻のギザギザの各節)までの距離はある程度幅があることになります。

観測者が最初に聞く音は、近くの放電路から到達した音であり、次々とより遠くの放電路からの音が届きます。各放電路はつながっていますので、音もつながって長く聞こえるというわけです。

音速を秒速350mとしますと、仮に観測者からの距離が3.5kmの範囲で不規則に迷走した雷からは、単純計算で10秒間の雷鳴が聞こえることになります。


特に夏場には雲の間で放電が起こる雲間雷の割合が多くなります。これは雲底に沿って比較的長い距離で放電しますので、地面に落ちる対地雷より時間差が大きくなるものと考えられます。



また、長い距離の間にはいろいろなものに反射したり、屈折したりして到達するでしょうから、その影響も少しあるかもしれません。

つまり、家の中で手をたたいてもほぼその直接の音しか聞こえませんが、広い体育館などでは複雑に反射・共鳴して残響音が長く聞こえるようなことです。雷の場合も、山や建物による反射や、大地と空との間での反射などにより残響が生じると考えられます。

とはいえ、この残響の影響はさほど大きくないでしょうね。遠くの花火の音でも多少は残響音が聞こえますけど、雷みたいに何秒も長引いていないですから・・・

Q.遠くの雷だと低い音がするのはなぜ?

A.雷の衝撃音の中には、もともといろんな周波数の音が混在していて、遠くには低い周波数の音だけが伝わるからです。

落雷地点近くで聞こえる鋭い破裂音は高い周波数が支配的となってに聞こえているのです。

遠くで聞こえる「ゴロゴロ・・・」というのは低い周波数の音が聞こえているんですね。


音というのは距離とともに減衰していきますが、周波数が高い方が減衰が大きいという特徴があります。

また、音が長い空間を伝搬する間には、減衰だけでなく、障害物による反射や屈折などの影響を受けます。高い周波数の音は直進性が高いため、よりその影響を受けやすい(障害物の陰に回り込みにくい)という特徴もあります。

これらは雷の音に限った話ではなくて、一般的な音の性質です。

こうした性質により、遠くから伝わってきた雷鳴には低周波成分だけが残っていて、低い音として聞こえるのです。

スポンサーリンク

Q.均一な音でなく、なぜゴロゴロと響くの?しかも雷によって鳴り方が違うのはなぜ?

A.放電路は大小さまざまな長さ、方向の直線状放電路から成り、ジグザグに曲がったり、枝別れしたりしているからです。

短い点状の放電路だと、そこで発せられる衝撃音は指向性がなく、減衰しやすいのですが、その点が直線状につながった放電路から放射される音は直進性が高く、進行方向に対して減衰しにくいという特徴があります。

ですので、放電路がジグザグに曲がったり、枝分かれしたりすると、指向性の向きが不連続となり、観測者に聞こえる大きな音が不規則に到達します。


この結果、雷鳴は均一な音にはならず、ゴロゴロゴロゴロ…と響く音になります。そしてランダムに形成される放電路の形によってその響きが雷ごとに違った音になるのです。

また、先ほど残響のお話をしました。反射を繰り返すことにより残響音が発生しますが、その際、周波数によっては強め合ったりする「共振」も起こります。それも音の強弱の要因になると考えられます。

おわりに

なんとなく、遠くの雷鳴だとゴロゴロゴロ……と長くて低い音がするイメージがあり、それに対して、落雷地点の近くではメキメキとかピッシャーンとかいう甲高くて短い音、というイメージを持ってました。

でも最初の方で示した動画をご覧になればおわかりのように、実際には近くに落ちた場合でも、甲高いピッシャーンの後、ゴロゴロと長く低い音が聞こえます。

今回の知識をもとに考えてみれば、自分の真上から落雷があったとしても、雷が仮に3.5kmの高さから発生したのだったら、単純計算で約10秒の長さの音が聞こえることになりますね。



今回は、雷の音に関して昔から疑問に思っていたことを調べてみました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。


スポンサーリンク

Pocket