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数年前の話。近所で発生した落雷の影響で、自宅の電気温水器が故障してしまいました。

故障のチェック方法などをネット上で調べているうち、"落雷による設備の故障は火災保険で補償される" との文言が目にとまりました。

「ん?まてよ。 住宅ローン を借りるために火災保険の加入が必須条件じゃなかったっけ・・・それが使えるということかな?」


結論を申しますと、修理代金の全額(約3万円)を全て火災保険で補償してもらうことができました。
いやー、ありがたい。火災保険さまさまです。


落雷被害を火災保険で補償してもらえるなんて、知らない方は結構多いんじゃないでしょうか。私も今回のことで初めて知りました。

今回は、まず実体験(実際に落雷が発生してから、故障の修理依頼、保険請求までのもろもろ)を順にみていきます。その後に、その実体験を基にした気を付けるべきポイントなどをまとめていきますね。

ポイントだけを知りたい方は、
下↓↓の目次から、「■■ 気を付けるべき3つのポイント ■■」というところを先にご覧いただければと思います。


それではご一緒にみていきましょう!

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落雷被害で保険適用してみた体験談

lightning

白昼の落雷!!

2016年8月24日のお昼ごろ、千葉県の広い範囲でゲリラ豪雨が発生しました。

その際、我が家の近所に落雷が落ち、電気温水器が故障してしまいました。

症状としては、ポンプ等は問題なかったですが、新たなお湯の沸き上げが不能に。なので、落雷後しばらくはお湯が出たようですが、最終的に水しか出なくなりました。

なぜ落雷が原因だとわかったかと言いますと、たまたま家内が在宅中だったからです。落雷後、すぐにキッチンのリモコンパネルにエラー表示が出たそうです。

こうして故障の原因が落雷だとはっきりしていた点はラッキーだったと思います。留守中に起こったことだったら落雷が原因とは気付けなかったかもしれません。

さっそく翌日にメーカーと保険会社に連絡

当日の夜、取扱説明書を見ながらいろいろ試してみましたが、
結局素人にはどうにもならん!(# ゚Д゚)!という結論に至りました。

夏場なので、風呂に入れないのはつらいものがあります。なにはともあれ、翌日にメーカーに連絡し、できるだけ早く修理に来てくださいとお願いしました。

聞くと、やはりこの周辺で同様の修理依頼があったそうです。


冒頭でも述べたように、この故障についてネット上の情報をあれやこれや拾っていくうち、「落雷被害は火災保険で補償してもらえる場合がある」ということを知りました。

住宅ローンを組んだ際に火災保険には加入していたはずということを思い出して、保険の証書を引っ張り出し、以下の事項を確認しました。

  • 火災保険会社
  • 契約書番号
  • 保険期間
  • 補償の対象
  • 問合せ先(電話)と窓口営業時間

money
で、メーカーへの修理依頼の後、すぐに保険会社へも連絡。その際、以下のような情報を伝えました。

  • 契約書番号
  • 落雷のあった日時
  • 故障したもの(今回は電気温水器。他にも無いか確認しておくこと)
  • 故障の状況

その時に担当の方から 今回のケースならおそらく補償は可能です、とのありがたいお言葉をいただきました。

そして以下の書類を準備して保険金を請求してくださいと言われました。

  • 保険金請求書(用紙を送られてくるので記入して提出)
  • 写真(建物との関係がわかる全景と故障カ所のアップ)
  • 修理の見積書

保険会社とのやり取りって、もっと厳しいことを言われるかと構えてたんですが、思っていたより親身に話を聞いてくれて、意外と簡単♫ でしたよ(ちなみに損保ジャパンです)。

修理の日

数日後、メーカーから修理の方が来てくれました。落雷被害としては典型的な故障だったようで、制御用の基板だけを交換 してすぐに給湯機は復活。

火災保険を請求するつもりだと言うと、見積書に「落雷によるものとみられます」 と一筆記入してくれました。


取り外された故障基板を見せてもらいました。でも特にどこかが焼き切れているといった様子もなく、外観だけでは落雷かどうかなんて全然わかりませんでした。

次の3枚の写真(全景と故障した基板のアップ)を撮り、A4用紙にまとめて印刷。見積書と保険金請求書とともに提出しました。

電気温水器1
カバーをしたままの全景

電気温水器2
カバーを外したところ。右下が問題の基板

故障した基板のアップ
故障した基板のアップ

無事、保険金をゲット!修理代金プラスαも

保険金は原則として請求後30日以内に支払われるとのこと。修理代金の請求は翌月の月末が期限でしたので、それよりも前に保険金を受け取ることができました。

修理代金は約3万円(税込み)。全て保険金でまかなうことができました。

実は、修理代金以上に、若干の上乗せ分 を受け取る事ができたんです。明細を見ると、修理代金の実費分が「損害保険金」で、上乗せ分は「費用保険金」となっていました。

この「費用保険金」とは、住宅や家財が損害を受けたときに、それに付随する様々な費用を補償してくれるというものです。

例えば今回の場合、給湯器の修理が済むまでの数日間は一家4人で銭湯に行くなどの費用が結構かかってしまったのですが、費用保険金でその分をまかなうことができました。

いやー、予想していなかったお金まで補償してもらえて、本当にありがたかったです。



ただし費用保険金については各保険商品によって扱いが異なるようですので、詳しくはご利用の保険会社にご確認ください。



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今回はメーカーの修理サポートも保険会社の対応も非常にスムーズで良かったです。

しかし何点か気を付けるべき事項があります。以下でそのポイントを説明していきますので引き続きご覧ください。

■■ 気を付けるべき3つのポイント ■■

重要なポイントは以下の3点。

  1. 火災保険の補償対象に注意!
  2. 証拠(写真や見積書など)を残しておくこと!
  3. 早めに保険会社に連絡を!

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

ポイント① 火災保険の補償対象に注意!

火災保険には、補償の対象の違いから、大きく分けて次の3種類があります。


  • 「建物」を補償する保険
  • 両方「建物+家財」を補償する保険
  • 「家財」のみを補償する保険


それぞれどういった性質の保険で、「建物」および「家財」って、具体的にどういうものが該当するんでしょうか?

建物を対象とする保険

家屋 そのもの、および 家屋に備え付けられて容易には移動ができないような設備 が対象となります。

■ 「建物」に含まれる設備の例

アンテナ設備、照明設備、太陽光発電機、ビルトインのエアコン、火災報知機、盗難防止装置、分電盤、浴室乾燥機、インターホン、換気扇、給水タンクのポンプ、電動窓やシャッター、シャワートイレ、電気温水器、エコキュート、ビルトインのIHクッキングヒーター、ビルトインの食洗器、ビルトインのオーブンレンジ など


保険料が安い代わりに、「家財」は補償されません。例えば、テレビやパソコンが落雷で故障したとしても、このタイプの保険では補償されないということにご注意ください。

両方「建物+家財」を補償する保険

上記の「建物」に加えて、「家財」すなわち、コンセント等で接続されており、家屋と一体にはなっておらず、容易に移動できるような設備 も含めてを対象とします。

■ 「家財」に含まれる設備の例

テレビ、パソコン、ハードディスクレコーダー、電話、ゲーム機、無線ルータ、扇風機 など


当然保険料が高くなりますが、たいていの落雷被害に対して幅広く補償を受けることができます。

「家財」のみを補償する保険

ちょっと特殊です。すでに「建物」のみの保険に加入済みで、「家財」まで補償範囲を拡充しようとする人向けの保険商品と考えられます。

後日になりますが、我が家ではこの保険をかけるようにしました。住宅ローン時にかけた火災保険が長期契約で有利なものだったので、解約はせず、家財補償の分を追加する形としました。

家財の例外

以下は家財を対象とする火災保険でも補償されません(特別な特約を付ければ補償は可能)。

なお自動車の場合は、火災保険というよりは自動車保険の方で車両保険をかけていれば落雷被害の補償を受けることが可能です。

■ 「家財」でも対象外となる例

自動車、メガネ、携帯電話、スマホ、パソコン内のソフトやデータといった中身 など




当時、我が家で掛けていた火災保険は「建物」のみ対象のタイプでしたが、故障したのは 備え付けの電気温水器 でしたから、ちゃんと補償を受けることができました。

ちなみに、エアコンの場合ですが、ビルトインの室内機は間違いなく「建物」に含まれます。微妙なのは室外機です。一般的に家屋に固定されているわけでなく、床置きされていることから、一部の保険会社で「家財」と扱われた例もあるそうです。

室外機
そうはいっても室外機だけ単体の設備として使われることはないのですから、室内機とともに「建物」に含まれると解釈すべきじゃないですかね。。。。今ではこうした考え方が一般的とされているようです。

住宅ローン対応の火災保険

被災当時の我が家の火災保険はこのタイプ。住宅ローンを利用するためには加入が必要と言われ、ほぼ言われるままに契約したものです。

普通、火災保険に特別なこだわりがない限り、銀行のおすすめする保険に加入するケースが多いと思いますが、その場合は「建物のみ」であることが殆どです。

その理由は、金銭的負担を少なくという配慮もあるでしょうし、銀行としては「建物」を担保にお金を貸すという事情があるからです(「家財」は担保に含まれません)。

火災等の被害に遭ったとき、銀行としては住宅ローンの担保である「建物」の価値が損なわれることは避けねばなりません。だから最低限、その部分が対象となってる保険であれば良いのです。

なお、銀行は提携する保険会社の商品を紹介するかもしれませんが、強制ではありません。指定された要件(契約期間や保険金額など)を満たしたものであれば、借り手側が独自に加入した保険でも大丈夫です。

ですから、住宅ローンに対応するための火災保険でも、補償の範囲を広くして「建物+家財」を対象とすることは可能なんですね。保険商品の内容をしっかり理解して、どこまでの補償を求めるかよく考えて契約すると良いでしょう。

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ポイント② 証拠(写真や見積書など)を残しておくこと!

保険金の請求の際には写真と見積書の添付が必要となります。

修理をしてしまってから、後から保険を請求しようとしても、写真も見積書も残っていないと、請求は難しくなってしまいます。

写真

「建物」としての設備の場合は、建物との一体具合がわかるような写真(全景写真みたいなもの)と、故障した部分の写真も求められます。

「故障した部分」とは言っても、必ずしも外観から「落雷被害」が判別できるとは限りません(今回のケースでもそうでした)から、あまり難しく考える必要はないと思います。

少なくとも、申請対象の設備を実際に所有しているということが示せればよいのではないでしょうか。

見積書

ただ金額だけが書いてあるようなものはダメで、修理の内訳がわかるような見積書が求められます。

保険会社からすると、修理の見積書というのは、被害の見積書でもあるわけなので、見積書には以下のような項目が求められるんだと思います。

  • どこが壊れているか
  • 修理にいくらかかるか(あるいは修理不能か)

できれば、故障の原因が落雷であること、もしくはその可能性があることなどが記載されていると保険金が下りやすいようです。この辺りは修理業者さんにお願いしてみましょう。

しかし、真面目な業者さんの場合、「不明なので落雷とは書けない」と言われるかもしれません。そうなると仕方ないですね・・・


特に見積書にそういった理由(落雷の影響等)の記載なくても保険金が下りるケースが多いようです。

場合によっては自治体による罹災証明あるいは被災証明などが求められるかもしれません。ひょっとしたら、過去の気象情報が役に立つかもしれません。

いずれにしろ、保険会社に相談してみましょう。


罹災証明・被災証明とは?

法律的には「災害対策基本法」で規定されています。いずれも市町村の自治事務ですが、取扱窓口は自治体によって様々です。消防署の場合もあれば、市役所の課税課だったり、総務課だったり。

一般的に……

  • 被災証明書とは、被災した事実と、人を特定するもので、多くの場合は家屋以外の被害を証明するもの

  • 罹災証明書とは、家屋等の被害について、その程度を証明するもの

とされることが多いようです。

とはいえ、明確な定義はありません。自治体によっても扱いはまちまちで、同じもの(被災証明書がなく、罹災証明書しかないなど)としているところもあります。


ただし・・・落雷については、火災などと違って、直撃でもない限り 被害の証明が難しい ので、発行してもらえない場合もあるようです。

過去の気象情報が簡単にわかるサイト

参考までにご紹介しておきます。

日本気象協会の「過去の天気」(https://tenki.jp/past/radar/)というサイトです。

例えば今回の私のケースでは、2016年8月24日、正午頃。12時から13時にかけて千葉県一帯で雨雲レーダーが真っ赤になっていて、ゲリラ豪雨が発生したらしいことがわかります(画像へのlink)。雷も発生しておかしくない状況だったと推察されます。

■ 上記サイトで雨雲レーダー画像を見る方法

  • 年、月、「雨雲の動き」を選択して、その下のカレンダーから日をクリックすると雨雲レーダーの画像がでてきます。
  • 画像内クリックで県レベルまで拡大できます。
  • 下のスライドバーで時間を選べます(アニメーションも可能です)


どうしても落雷の被害があったという証拠が見つからない時には、このような情報を提示してみてはいかがでしょうか。実際にこの日時に故障したことも合わせて示せれば(日記やメールとか)、説得力は結構あるような気がします。

保険会社が決定的な証拠として認めてくれるかどうかはわかりませんが、交渉事にはこうした補強証拠が多い方が有利だと思います。

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ポイント③ 早めに保険会社に連絡を!

先延ばしにして後のまつりとならないよう、できるだけ早い段階で保険会社に連絡をとることをおすすめします。

ここで写真や見積書などが必要だとはお伝えしていますが、他にも何か必要なことがあるかもしれません。

できればメールやFAXではなくて、電話が良いと思います。手続き等で必要となるアクションや書類などの詳しいアドバイスがもらえますよ。

連絡の際には、できれば事前に以下の内容を整理しておくと良いです。
  • 契約書番号
  • 落雷のあった日時
  • 故障があったアイテム・・・他にも故障したものが無いか確認しておくこと
  • 故障の状況



さて、今回のケースではうまく修理ができましたけど、中には修理ができない場合や、修理費用がめちゃくちゃ高額になって修理が現実的でないような場合もあり得ます。

そういった場合はどうすればよいでしょうか?

修理不能の場合はどうなる?

基本的にはまずは修理が可能なものについては修理し、損害保険金として修理費が支払われます。修理不能なものについては、新たなものを購入するしかありません。

ここで注意すべきは、補償される金額には、「時価」と「新価(同じものを新規に購入する価格)」という2通りの考え方があることです。

  • 時価:「同じ製品を新規に購入する金額」から、経過年数に応じた減価償却分を差し引いた金額。
  • 新価:「同じ製品を新規に購入する金額」そのもの。減価償却分は引かなくてよい。

「時価」に基づく保険の場合、修理不能としてやむを得ず新品を買った場合でも、基本的にはその一部しか補償されません。

かつての火災保険では、「時価」で補償するものが多かったのですが、最近ではほとんど「新価」を採用したものになっているようです。

古い保険に入っている方は内容を確認しておかれた方がいいかもしれません。

火災保険って、火災や落雷以外でも使えるの?

一般に火災保険は、火災はもちろん、落雷以外の 自然災害 による被害も補償してくれます。

例えば・・・風災(台風や竜巻など)、ひょう、雪害など。

保険商品ごとに契約内容は異なりますから、詳しくは各保険会社にお問い合わせください。自転車事故等の自賠責保険を付けられるものもあるようです。

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生命保険の世帯加入率は9割以上ですが、持ち家世帯の火災保険(+共済)は 8割程度 と言われています。残りの2割の世帯は、火災や自然災害で住宅を失うなど甚大な被害を受けても、補償が受けられないということになります。

また、近年の自然災害の保険金支払額の急増を背景として、2022年10月より、火災保険料の大幅な値上げが行われました。合わせて、契約の最長期間も10年から5年に短縮されました。

なかなか不利な状況ですが、もし現在が単年契約ならば5年契約に変更するとか、補償内容を見直すとか、複数保険の比較検討などしてみてはいかがでしょうか。

>> 火災保険を比較するサイト

おわりに


ここまで述べてきたポイントをまとめますね。

  • 落雷被害は火災保険で補償可能!!
  • 補償対象に注意(建物か家財か、時価か新価か)
  • 証拠(写真や見積書)を残しておく
  • 早めに保険会社に連絡


地球温暖化のせいでしょうか、最近ゲリラ豪雨が多くなっているような気がします。こうした雨には雷がつきものなので、雷こわいのビビりな私にとっては由々しき事態です。

ホームセンターなどに行くと雷サージ保護回路付きのテーブルタップなどもあったりしますね。こうしたものを使うのももちろん有効です。しかし残念ながら完璧に被害を防ぎきれるものではありません(例えばテレビの場合コンセントではなくアンテナ線から過電流が入ってくる事もあり得る)。

雷による電化製品の故障については別記事で詳しくまとめています。

このような自然災害に遭ったとき、何度でも補償してくれる火災保険は、まさに神対応の保険。我が家の保険も住宅ローンを組んだ時に半ば強制的に加入させられたものですが、こんなにありがたいものだったなんて思いもよりませんでした。

せっかく加入していても、こうした知識を知っているのと知らないのとでは大違いです。本記事をご覧になられた方はもう大丈夫ですね。万が一の時にはしっかり利用していきましょう!


今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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