さわやかなゴールデンウイークを過ぎるころから、いよいよ、ピカ!ゴロゴロ・・・の季節がやってきますね。

あの光と大きな音だけでも十分怖くてイヤなのに、それに加えて、家電を壊すという実害をもたらすのが カミナリ です。
今や一般家庭でもテレビやパソコンなど、高価な家電がありますし、何らかの対策すべきと思いますけど、実際に行動に移している方は少ないのではないでしょうか。

家庭での雷対策なんて学校で教えてもらった覚えもありませんし。それに雷とか電気といえば感電する、という何やら怖いイメージがあるし、目で見えないものですから、なんとなくとっつきにくいですよね。

私も、正直なところ、雷で家電が故障するなんてことは真剣に考えていませんでした。

「家電が壊れるなんてのは雷が直撃した時だろ。そんなん滅多にないだろ~ ニュースになるわ」
…くらいに思ってました。

ところが先日、とうとう当事者デビュー。自宅の電気温水器が落雷で故障してしまったんです。もちろんニュースになんかなりません。

これでやっと自分の認識ちがいに気づかされました。と同時に、いろいろな疑問もわいてきたんですね。

  • なんで家に雷が直撃していないのに家電が壊れるの?
  • 壊れにくい家電とか、壊れやすい家電とか、あるの?
  • 家庭でできる対策は?

今回は、こうしたことを中心にいろいろ調べてみました。

同じような疑問をお持ちの方、いっしょに見ていきましょう!


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まずは一番基本的な疑問から。

なんで家に雷が直撃していないのに家電が壊れるの?

簡単に言いますと、

  • 落雷のエネルギーがあまりにも大きいので、
  • 周囲の電線や地面に大きな電気的ノイズが発生し、
  • 電線や地面を伝わって遠くまで届く

ということです。

なお「電線」と書きましたが、電力線に限らず、電話線やアンテナ線など、あらゆる金属配線でこうした現象が発生します。


もう少し詳しく、順序立ててみましょう。
雷が発生してから家電が壊れるまでの流れは、ざっと以下のようなものです。

  1. 雷により、屋外の電線や地面に雷サージが発生する
  2. 雷サージが電線や地面を伝わり、家の中に進入する
  3. 電線に接続されている家電に雷サージが伝わる
  4. 家電が雷サージに耐え切れず故障する

すみません。いきなり「雷サージ」なんて言われてもよくわからないですよね。これから詳しく説明していきます。

流れ1.雷により、屋外の電線や地面に雷サージが発生する

雷により、数百メートルの範囲内で 雷サージ という膨大なエネルギーの「ノイズ」が発生します。

その正体は、通常時とは異なる大きな電流値(過電流)や大きな電圧(過電圧)という姿をもった電気的エネルギーです。電線や地面などの媒体を伝わる性質を持っています。


そう、考えるべき対象は、この時点で「雷」という放電現象から、そこから生まれた「雷サージ」というノイズの現象になったと言えます(もちろん、一瞬の間に起こっていることですが)。


よくAMラジオを聴いていると、「ザッ」とか「ガリッ」というノイズが聞こえることがありますね。雷が発生している時であれば、おそらくそれはどこかで発生した雷サージのノイズを拾ったものと思われます。

■ 野外で活動をするときには、AMラジオを聴くと良い
登山者 このノイズ音により、早いタイミング(雷から約 50km)で雷発生を知ることができます。

音としてゴロゴロ・・・が聞こえるのはおよそ 10~20km の地点からと言われますが、雷はそれと同じぐらいの距離までランダムに落ちることがありますので、雷鳴が聞こえるころにはすでに落雷の危険が身近に迫っている可能性があるのです。

なお、このノイズはAMの他にSW(短波)ラジオでも聞こえます。ただしFMラジオでは聞こえません。



伝わり方によって、雷サージは以下の三種類に分類されます。

直撃雷
誘導雷
逆流雷(侵入雷)


雷サージの図

直撃雷

文字通り、落雷本体が直撃したときの雷サージです。

膨大なエネルギーが放出されます。放出電流は数十kA~数百kAで、発生する電圧は数千kVと、家電等で扱っている商用電源の数百Vとは全くのケタ違いです。

こんなのが家を直撃したら、家電は間違いなく壊れます。対策は不可能。というか、避雷針などがなければ建物そのものがタダでは済みません。

誘導雷

落雷による大きな電磁界の変化で、電磁誘導が発生し、野外に設置された電線に大きなノイズが発生します。

このタイプの雷サージを誘導雷と言います。一般に、家庭での雷被害の多くはこの誘導雷によるものです。

電磁誘導って、あまり聞きなれない言葉ですね。(多分中学校の理科で習ったはずですが・・・)

難しい話は端折りますが、要するに、電磁界の変化があると、その影響が及ぶ範囲で、それを打ち消すような別の電磁界の変化が誘導されるという現象です。

「放電」の場合は、影響がおよぶ範囲がきわめて限定的(点から出て点に落ちる)であるのに対し、「電磁誘導」の場合は、一定の空間に含まれる全ての電線に影響を与えますので、被害が四方八方に及んでしまうのです。

逆流雷(侵入雷)

建物の避雷針や大地などへの直撃雷によって、大地の電位が急激に上昇します。それが地面を通して離れたところに伝わり、アース線から建物へ逆流する雷サージとなります。これのタイプの雷サージを侵入雷または逆流雷と言います。

逆流雷によっても、家庭の電化製品に被害が発生することがあります。


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もちろん、直撃雷をくらったらひとたまりもありませんが、落雷の発生地点はピンポイントですし、被害にあう確率は小さいと言えます。

一般に、家庭での雷被害の多くは 誘導雷と逆流雷 によるものと言われています。

流れ2.雷サージが電線や地面を伝わり、家の中に進入する

誘導雷や逆流雷といった 雷サージの発生は落雷の地点から数百メートルの範囲内 で起こりますが、それが電線や地面を伝わり、ある一定の範囲内に広く影響を与えます。

機器の故障などを引き起こすレベルの影響が伝わる範囲としてはおよそ 2km と言われます

ですから、直ぐ近くに落雷があったわけでもないのに、落雷地点から数キロ以内であれば、家電等の被害を受ける可能性があるのです。

電柱
こうして家庭に侵入した雷サージが、具体的にどうやってゴールである家電にまで到達するのかを見てみましょう。

流れ3.電線に接続されている家電に雷サージが伝わる

雷サージの侵入経路となり得る電線には、以下のようなものがあります。

  • 電力線
  • アンテナ線
  • 電話線
  • CATVケーブル
  • アース線
  • LANケーブル

電力線はいわゆる交流の100Vまたは200Vの商用電源として住宅に引き込まれます。家の中ではコンセントにつながる線もありますし、ビルトインの電化製品だと壁の中で直接つながっていたりするものです。

アース線は緑色の配線として、電子レンジや冷蔵庫や洗濯機など、キッチンや水回りで使われる家電によく付いているものです。アース線つきのコンセントを介して、家全体のアース線につながっています(建物が正しく施工されていればそのはずです)。

LANケーブルはパソコン等とルーター間を有線でつなぐネットワークケーブルです・・・でもこれ、おかしいんじゃない?と思ったアナタ、なかなか鋭い。

確かにLANケーブルは普通は家の中だけで使われるものですから、雷サージの侵入経路にはならないハズ、と思われるのも当然ですね。

しかし、電力線など、他の電線によって外部から侵入した雷サージが、装置等を介して2次的にLANケーブルを伝搬する可能性があるのです。なので注意すべき電線としてここに挙げています。


雷サージが伝わるのは、導体である金属の電線です。
例えばおなじ電話線でも、光ケーブルは絶縁体ですので、雷サージは伝わりません。

しかし、集合住宅などの場合ですと、建物までは光ケーブルでも、分配器を介したところで金属配線として各戸に配線されていることがあります。この場合は上記のLANケーブルと同様に雷サージの侵入経路となる可能性があります。


いろんな電線を伝わることはわかりました。では、どの電線が一番やばいんでしょうか。

どの電線から侵入してくるのが多いのか

次のリストは、ある統計による「雷被害に対する雷サージの侵入発生割合」を示しています。

  • 電源線(4割)
  • アンテナ線(4割)
  • 通信線(2割)
  • アース線(若干)

電力線(いわゆるコンセント経由)ばかり注意が行きがちですが、それ以外の経路からの侵入も意外と多いんですね。

電力線は基本的に全ての家電につながっており、被害にあう家電も多い反面、分散するので雷サージが軽減されるという面もあります。

アンテナ線は分岐が少ない(ほぼテレビ・ビデオ狙い撃ち)ので、いったん侵入されると故障につながる可能性が一番高いのが特徴です。

IT技術の発展により、電話線をはじめとする通信線ネットワークのインフラが社会全体として増えてきています。それはつまり、雷サージの侵入経路が以前より増えてきているということでもあります。

また、アース線は逆流雷(侵入雷)の侵入経路となりますが、割合としては少ないようです。


それから、装置自体が金属フレームで構成されていて、それが何らかのメタル素材(金具やネジ等)で接地されている場合、地面から直接に雷サージが侵入することもあります。

先日の我が家での事例屋外に設置してあった電気温水器のみが故障し、他の家電製品に影響がなかったケース)では、この経路で雷サージが侵入したのではないかと思われます。


サージパルス
このように、雷サージの侵入経路になるのは、電力線だけではなく、装置に接続されるあらゆる金属配線にその可能性があるのです。

つまり、家電量販店でよく売られている、雷対策付きのテーブルタップだけで雷サージの侵入を100%くいとめることは不可能だということは肝に銘じておく必要がありそうです。


話の流れとしては、次に 「流れ4.家電が雷サージに耐え切れず故障する」となるわけですが、これは次の疑問の章といっしょにまとめて、詳しく見ていきたいと思います。

記事のラストスパートです。もう少しお付き合いください!

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壊れにくい家電とか、壊れやすい家電とか、あるの?

まず最初に、実際の雷サージの侵入経路によって、被害に遭う/遭わないということがあります。もうそれは運みたいなものですね。

以下の内容は、そうしたこととは別に、装置として雷サージに強いか弱いかという話です。念のため。

壊れにくい家電とは?

電気ストーブや扇風機など、電気→熱・動力といった形で、電力エネルギーを他のエネルギーに変換しているようなタイプの機器は、落雷による被害は比較的少ないと言われます。

これらは 強電家電 と呼ばれ、内部で扱う電力が比較的高いものです。絶縁破壊が起きないよう、耐電圧の高いサイズの大きな部品を使ったり、太い配線にするなど、もともと丈夫に作られています。

照明器具などもこの部類ですね。

壊れやすい家電とは?

半導体(ICチップ)を使用した、パソコンなどのIT機器や、テレビなどのデジタル家電がその典型です。

これらは弱電家電と呼ばれ、内部はほんの数ボルトとかミリアンペアの単位で動作する部品で構成されています。

高機能が第一で、競争力を高めるために微細化命となっています。半導体自体、ミクロン単位の微細な構造で作られていますし、基板上には髪の毛ほどの配線パターンがはい回り、部品が高密度に実装されています。

print circuit board
結果的にこうした製品は、絶縁破壊を起こし易い危険な箇所だらけとなっているんですね。

また、IT機器は一般的に電力線以外のケーブル接続(アンテナ線や電話線)を持つことが多いので、その分、雷サージに晒される可能性が高いという面もあります。


もちろん、耐サージ技術だって昔より進歩しています。なので自動車などでは厳しい耐サージ基準のもと、半導体を多用した電子化の流れが加速しています(厳密に言えば、こちらは雷サージというよりは静電気によるESDサージを扱いますが、技術的に同じものです)。

しかしIT機器には自動車ほどの厳しい耐サージ基準は課せられていないので、製品の競争力を高めるため、微細化あるいは低コスト化の方が優先されてしまう傾向があるのです。



被害の多い家電の典型としてIT機器やデジタル家電を挙げましたが、最近ではほとんどの電化製品に半導体やICチップが搭載されるようになり、強電と弱電の区分がはっきりしなくなってきています。

ですので、ひとたび落雷被害に遭うと、一気に家電全滅!とか被害総額が 数十万円! てなことも珍しくないのです。

それと、パソコンのハードディスクなどが壊れると、お金では買えない大切なデータや写真などが失われる可能性もあります。

これだけ被害が甚大なこともあるなら、やっぱり何か対策はしておかないと…という気持ちになりますよね。

家庭でできる対策は?

家庭でできる対策として、ここでは次の4つを取り上げたいと思います。

  1. 装置の水際で雷サージ経路を絶つ
  2. 分電盤のブレーカーを落とす
  3. 雷サージ対策製品(電源タップ等)を使用
  4. 保険に入っておく

対策① 装置の水際で雷サージ経路を絶つ

コンセントを抜く つまり、家電につながっているあらゆる電線を可能な限り抜いてしまうことです。

これが最もシンプルで確実な対策です!!

具体的には、

  •  コンセントを抜く
  •  アンテナ線を抜く
  •  電話線を抜く
  •  LANケーブルを抜く

ということですね。

でも言うのは簡単ですが結構大変そう。家の中にはコンセントがたくさんあると思いますので、パソコン、テレビ、電話機など、重要なもの、高価なものや使えなくなると困る家電を優先して抜いて回ります。

いざ雷が鳴った時に慌てないよう、予めコンセントを抜く順番を決めておくと良いと思います。

対策② 分電盤のブレーカーを落とす

ブレーカー 個々にコンセントを抜いて回るより、もっと上流で経路を断ってしまおうという方法です。

まとめて家中の家電の電源を断つことができるので、一見よさげ。

しかし、残念ながら これだけでは十分な対策とは言えない のです。

高電圧の雷サージに対して、ブレーカースイッチの「OFF状態」の絶縁性能が十分ではありません。つまり、接点間のOFF時の絶縁距離が充分とはいえないのです。

とはいえ、それなりの効果はありますし、コンセント接続でない、建物と一体となっている電化製品の対策としてはこの方法しかないでしょう。



順番としては、基本的に先ほどの「水際作戦」を先にやって、ブレーカーは後回し、と決めておくことをおすすめします。なぜなら、夜の場合もあるから。

ブレーカーを落としてしまうと照明も消えてしまいます。だから実際には躊躇すると思いますし、実行するにしても懐中電灯を準備しなきゃ・・・とかもたもたしてしまいそう。

そんなことをしている間に、リビング周辺からパッパッとコンセント等を抜いてしまった方がよいと思うからです。



しかし、ここで重大な問題が。
上記2つの対策は、在宅していなければできない!

家にいない場合も考えて、以下のような常日頃からの備えも行っておくと良いでしょう。

対策③ 雷サージ対策製品(電源タップ等)を使用

「雷サージ付」はまずいと思うけど…

「雷ガード」や「雷サージ防止」などの機能が付いた電源タップ。

最近、家電量販店や、ホームセンターなどでよく見かける気がします。まあ、私が雷被害の当事者になったから余計に気が付くようになったのかもしれませんけど。

製品もピンからキリまでありますし、どんな高価な製品でも 100%被害を防げる、というものではありません。でも、ある程度の効果は期待できます。間違いなく、何もしていないよりは助かる可能性が高くなります。

いうなれば、保険。最後の砦。私もパソコンなど重要なものには使うようにしています。

できれば、アンテナ線や電話線にも同様のガード製品を付けたいところですが、今のところそこまではやってません。コンセント用と違って結構高価ですしね。。。

対策④ 保険に入っておく

保険は、直接家電を守ってくれるものではありません。しかし修理したり買い換える事を補償してくれるものですから、広い意味では「対策」と言っていいでしょう。

まず、”これだけは知っておいてほしい事”から。
落雷被害は火災保険で補償可能!! です。

火災にならなくても、家屋の一部が壊れたとか、家電が故障したという被害でも、条件が合えば補償してもらえます。

保険商品によって細かい条件はいろいろあるかもしれませんが、重要なものは以下の二つ。

  • 補償対象としてカバーされること(建物か家財か)
  • 修理の見積書や写真を提出できること


建物に備え付けになっている、電気温水器やエコキュートなどは「建物」が対象の火災保険で補償可能ですが、備え付けでない、コンセントにつなげて使うパソコンやテレビなどの家電は「家財」が対象の火災保険でないと補償してもらえません。

一般に、家財まで補償してくれる保険は高額です。

住宅ローンを組む際に「半強制的に/言われるがままに」火災保険に加入した方も多いと思いますが、この手の火災保険は、「建物」のみが対象であるケースが多いですから注意が必要です。

修理の見積書や写真というのは、保険請求の際に必要となるものです。紛失したりして提出できない場合は、補償を受けるのが難しくなってしまいます。


実は私も電気温水器が壊れた時に、火災保険を活用させてもらいました。

別記事で、 落雷による保険請求の方法の顛末について、実体験をもとにご紹介していますので、保険に関しての詳細はこちらをご覧ください。

おわりに

まとめます。
■ なんで家に雷が直撃していないのに家電が壊れるの?
 落雷のエネルギーがあまりにも大きいので、周囲の電線や地面に大きな電気的ノイズが発生し、電線や地面を伝わって遠くまで届くからです。その範囲はおよそ2km。

■ 壊れにくい家電とか、壊れやすい家電とか、あるの?
 半導体やICが使われたり、接続するケーブル線が多いIT機器やデジタル家電などが壊れやすいです。

■ 家庭でできる対策は?
 電化製品から電線を抜く事。
 ブレーカーを落とす事。
 雷ガード対策製品を使う事。
 保険に入る事。


近年、地球規模の温暖化の影響で、ゲリラ豪雨や雷雨が増えるのではとも言われています。

それに加えて家電製品のネットワーク化・高機能化も進んでいくでしょうから、家庭での雷対策はますます重要になっていくと思います。

今回調べてみて意外だったのは、テーブルタップなどで電源線さえ対策していれば良いというわけでなく、アンテナ線や電話線などからの雷サージも考えないといけないということでした。

雷対策はなかなかどうして奥が深そうですね。


今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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