最近、地球温暖化の影響からか、「大気の状態が不安定」という言葉をよく耳にする機会が多くなった気がします。夏になると一日おきに聞いてるくらいの印象があったりします。
上空に冷たい空気があり、地上には温められた空気の層がある状態で、湿った空気があるとさらに不安定となり、積乱雲(雷雲)が発生しやすくなります。
このような気象状況が予想されると、半日とか1日単位でこうした「大気の状態が不安定」といった表現で注意を呼びかける気象情報が出されます。
その上で、実際に積乱雲が発生しそうな数時間前ぐらいの段階で、「雷注意報」が出されることが多くなります。
気象庁が発表する警報・注意報の中で、一番発表回数が多いのがこの雷注意報です。割合でいうと警報・注意報全体の 24%を 占め、件数としては日本全国で年間 約18万件 に上ります。
そして年間を通して最も多いのがやはり夏(8月)です。
そんな雷注意報ですが、件数が多くなると、慣れというか、ついつい聞き流してしまうってこと、ありませんか?
私たちの身の安全を守るため、せっかく前もって出される注意報です。天候の急変などにつながる重要なメッセージとして、非常に重要なものなんです。あらためてその意味や注意すべき点を再確認してみましょう。
雷注意報とは?
雷注意報は気象庁が発表するもので、以下のように定義されています。雷注意報は、落雷のほか、急な強い雨、竜巻等の突風、降ひょうといった積乱雲の発達に伴い発生する激しい気象現象による人や建物への被害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。
(気象庁HPより)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html
つまり、雷注意報とはいうものの、注意すべきは雷だけではなく、発達した積乱雲がもたらす激しい気象現象全般なのです。
雷注意報に慣れてはいけない理由
普通、雷といえば直接的な落雷が怖いというイメージがありますよね。それだけを考えるのであれば、確かに、あまりにもピンポイントで、めったに被害に遭うことはないのかもしれません。しかし、雷注意報が出されたら、雷だけではなく、そのあとに大雨や竜巻といった、ピンポイントではない災害もありうるのです。
特に、以下のような状況・活動をされている方は、早めに的確な判断を求められます。
次から、雷注意報が出たあとに注意すべき災害について詳しく見ていきましょう。
雷注意報が出たあとに注意すべき災害
具体的には、次のような災害が考えられます。- 落雷による人的被害
- 落雷による停電や交通、家電への被害
- 竜巻などの突風
- ゲリラ豪雨
- 雹(ひょう)
落雷による人的被害
直撃雷に打たれる確率は確かにそう高くはありませんが、ゼロではありません。また、雷に打たれた場合、おおよそ10名に1名の確率で死亡すると言われます。平成22年警察白書によると、平成17年~21年の5年間で、
- 雷による自然災害事故の報告件数は986件
- このうち、死者・行方不明者は14名、負傷者は50名
通常は年間100件前後なのですが、特に平成17年は特異年で、661件もありました。
ただし、この事故数ですが、報告義務があるわけではないので、実数はもっと多い可能性があります。
落雷による停電や交通、家電への被害
人や建物への被害の他、停電や交通の運休などもあります。また、近年の高度情報化やデジタル化によって家電への被害が多くなってきています。実際、私の家でも落雷被害で電気温水器が壊れました。雷が直撃したわけではありません。数キロの範囲内に落雷があれば、誰でもこうした被害に遭う可能性があるのです。
こうした被害の原理や家電故障のメカニズムについては、詳しくは別記事にまとめていますので、こちらも併せてご覧ください。
竜巻などの突風
雷注意報からつながる被害として、これがもっとも恐ろしいのが竜巻だと思います。襲われたら逃げるすべがなさそう。。。アメリカあたりの竜巻が多い地域では、割と一般的にシェルターとして地下室を作ってたりするようですが、日本ではさすがにそこまでする人は多くないでしょう。
竜巻などの激しい突風は、発達した積乱雲によって引き起こされます。
積乱雲が発生しそうな数時間前といった段階で「雷注意報」が出されることが多いのですが、その際、竜巻の可能性がある場合にはその段階で「竜巻」というキーワードとともに注意を喚起されることがあります。
そのうえで、いよいよ竜巻やダウンバーストといった激しい突風をもたらすように発達した積乱雲(スーパーセル)の発生が予想されると、「竜巻注意情報」が出されるようになります。
竜巻注意情報がぴたりと竜巻を予測するのはまだ精度が十分ではありませんが、ほぼ100%言えることは、竜巻の事前に「雷注意報」が発表されている、ということ。
竜巻注意情報が出されるのはそこからさらに絞り込まれている分、確実に竜巻の危険度が高まっていると考えるべきです。
ゲリラ豪雨
雷注意報の後、ゲリラ豪雨、つまり局所的豪雨へとつながる可能性もあります。おなじ大雨でも、線状降水帯などによる場合は、警戒レベルの発表があったりして、ある程度、時間的余裕があるに対し、積乱雲の急発達によるいわゆる「ゲリラ豪雨」の場合は、局所的であり、予報が極めて難しいのが特徴的です。
局所的豪雨によって、川沿いはもちろん、水が集まるような地下やくぼんだ地形の場所では一気に水かさが増えます。事態が悪化する前に、早めの非難が必要です。
また、道路のアンダーパス部分に車で突っ込まないように、十分に注意しましょう。
急な斜面の近くでは、土砂崩れなどのおそれがあります。あらためてハザードマップでお住まいの地域のリスク箇所を確認しておくことが重要です。
雹(ひょう)
発達した積乱雲の中で、上昇気流と下降気流による上下動で氷の粒が大きく発達し、重さに耐えられなくなって降ってくるのが雹です。雹は雪やあられとは違います。農作物への被害、人や車や建物への被害をおよぼすことがあります。場合によってはゴルフボール大の氷の塊が降ってくることもあり、実際に人が死亡した事例もあります。
このくらいのサイズですと、落下の終端速度は時速120kmに達します。そんなのが頭に当たったらと考えると・・・恐ろしい。
雹が降ってきたら、むやみに屋外に出ないようにしましょう。
突然の自然災害に備える
この先いつか起きるであろう、地震や、台風、線状降水帯等による大雨などに対しては、ある程度備えることができますよね。備蓄やハザードマップ、避難場所の確認など、日頃から備えていらっしゃる方は多いと思います。厄介なのは、突然の災害です。
今回取り上げた、積乱雲の発達に伴い発生する激しい気象現象による人や建物への被害というのは、なかなか日頃から備えておくのは難しいものです。
例えば雷については、電化製品のコンセントを抜くといった対策はできますけれども、外出していたら家のコンセントを抜くことは不可能です。電気温水器など、そもそもコンセントを抜くことができないものもあります。
船橋の知り合いの家でも、雨どいが穴だらけ(大げさな比喩ではなくマジで)になってしまいました。急に空が暗くなったと思ったらあっという間のことだったそうです。
家じゅうの雨どいが総とっかえになるので、2階の工事は足場が必要になる可能性もあり、修理費はかなりの額になるだろうとのことでした。
火災保険
こうした急な災害に対して頼りになるのが、火災保険です。もちろん、上記のようなひょう被害も補償の対象になります。私も落雷で電気温水器が壊れた時に全額補償してもらって非常に助かりました。
生命保険の世帯加入率は9割以上ですが、持ち家世帯の火災保険(+共済)は 8割程度 と言われています。残りの2割の世帯は、火災や自然災害で住宅を失うなど甚大な被害を受けても、補償が受けられないということになります。
また、近年の自然災害の保険金支払額の急増を背景として、2022年10月より、多くの損害保険会社で火災保険料が見直されました。
保険料見直しの主な要因は、2018年~2019年の大規模な自然災害により、過去に例を見ない1兆円超もの損害保険金が2年連続で支払われたこと、そして2020年にも、大規模な自然災害が発生したことにあります。
また、保険料の引き上げとともに、保険期間の最長期間が10年から5年に短縮されました。
火災保険もいろいろと負担が増えそうな状況ですが、以下のようなポイントで現在加入している保険内容を見直すことにより、少しでも負担を軽減することも可能です。
- もし1年単位の保険だったら、長期契約に入りなおす
- 補償内容に優先順位をつけて、取捨選択する
- 特約の重複がないかチェックする
- 保険の内容を各社で比較してみる
以下のリンクは、各社の保険を一括して見積もりできるサービスです。現在の生活スタイルに合うよう、比較検討してみてはいかがでしょうか。
>> 火災保険を比較する
まとめ
上で見てきたように、雷注意報は、落雷、竜巻などの突風、ゲリラ豪雨、雹などの、いわゆる「天気の急変」の前ぶれを教えてくれるものです。そのリードタイムを無駄にしないよう、普段より細かく、雲の動きや気象情報を確認し、早め早めの対応をとるようにしましょう。
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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