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スプレー缶やカセット式ガスボンベを廃棄するには、中身を使い切ってから、穴をあけて、不燃物に捨てましょう、というのが昔からの常識だと思っていました。

ところが最近では、穴開け作業中の事故が相次いだため、穴をあける必要がない自治体も増えてきました。

とはいえ、いずれの場合でも、「中身を使い切ること」が必要であることは共通しています。

しかし、これが結構面倒なんですよね・・・


面倒なのでつい、何本も貯めてしまって、一度にたくさん処理しなければならなくなるケースも多いんじゃないでしょうか。

爆発するんじゃないか、中身が飛び散るんじゃないか、といった「なんとなく怖い」というプレッシャーもあるのだと思います。

今回は、スプレー缶の中身をきっちり空にする処理方法をご紹介したいと思います。そして出せない時の対処方法も。

正しい方法で中身を空にしさえすれば爆発や火災の危険はなくなります。怖がる必要はありませんよ~

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穴開けが「不要」だとしても必要なこと

穴開けが「不要」としている自治体でも、廃棄の際には
中身を出し切る事
は必要です。

スプレー缶の穴開け■ 関連記事
>> スプレー缶の穴あけには危険が潜む!穴を開けないのが新常識?


まず最初に、その 中身とは何か を理解しておきましょう。

中身には「内容物」と「ガス」がある

スプレー缶の中には、商品としての「内容物」の他、噴射剤としての「ガス」が含まれています。廃棄する際には内容物だけでなく、このガスも完全に抜く必要があります。

このガス、かつては不燃性のフロンが使われていましたが、環境破壊につながるとして、現在は使われておらず、代わりにLPG(液化石油ガス)やDME(ジメチルエーテル)などが使われています。

これらのガスが可燃性で引火性が高いものであるため、これも含めてすべてを出し切らないと廃棄後に火災や爆発等の危険があるのです。

スプレー缶の内容物を使い切るには!

普通なら、商品としての内容物を使い切ったところで、”捨てましょ” となりますね。

困るのが、まだ使い切っていないのに廃棄しなけりゃならんときです。事情はいろいろあるでしょうが、志半ばで捨てられるスプレー缶もさぞかし無念でしょう。

消臭スプレーや制汗剤が少し残っているぐらいなら外に向けて噴射しても良いでしょうけど、大量だったり、塗料や殺虫剤などの有害なものだと、むやみやたらと噴射するわけにもいきません。

できるだけ外部に漏れないように処分するために、ゴミ袋等の中に新聞紙やトイレットペーパー等を入れ、その中にスプレーする方法をとったりします。

このとき、噴出された分の気体を逃がしてやる必要がありますので、ゴミ袋に一カ所、小さく空気穴を開けておくのがコツです。

ただ、ここから内容物が少し混ざった気体が漏れてしまいますね。気になる場合は、空気穴の位置をずらした袋で二重三重にしておけば軽減されると思います。


そして「内容物」を使い切った後のスプレー缶から、さらに「ガス」を抜ききる必要があるのですが、結構時間がかかるので数が沢山あったりすると大変ですよね。

そんな時、次にご紹介する 中身排出機構 が便利です。

中身排出機構も活用しよう

ナカミハイシュツキコウ とは何ぞや?私も今回調べている中でその存在を初めて知りました。

「~ 機構」 って、中身を簡単に排出できる何やらすごい機能が付いているのかと思いきや、意外に単純なものです。

要するに、
可燃性ガスを出し切るためのロック機構

つまり、噴射ボタンをずっと指で押しているのと同じです。

とはいえ、放置プレイ で確実にガスを出し切ることができますので、確かに便利。一度にたくさんの本数を処理しなければならない場合などでは使わない手はないと思います。


ガスをシューっと出していると、気化熱が奪われて缶が冷たくなりますよね。するとガスの噴出力が低くなり、なかなか全てが抜けきるまでに時間がかかることがあります。

その対策として、現在の殆どの市販スプレー缶に 中身排出機構 なるものが付けられるようになったというわけです。

中身排出機構はメーカーによって呼び方が異なります。
  • ガス抜きキャップ
  • 残ガス排出機構
  • ガス抜きボタン
など。

呼び方だけでなく構造もさまざまです。詳しくはエアゾール協会のHPで解説されています。


以下は、実際の使い方を紹介している動画です。(1分37秒)



中身排出機構を使う上で、重要な注意点が4つあります。

1.内容物を使い切ってから使用します
液状や泡状の内容物が残った状態でロックして噴射をし続けると、内容物があふれてきて周囲を汚してしまったり、へたすると詰まってしまいます。この機構を使う前に、内容物を全て出し切っておきましょう。

2.すぐにその場を離れるのはNG
セットしてすぐにその場を離れるなど、完全放置はいけません。シューという音がしなくなるまではちゃんと確認しましょう。

3.火気のない戸外で作業する
ガスを出す作業ですから、当然、戸外で行います。

詳しくは次の章で・・・

4.一度に大量にガスを放出しない
室内はもちろん、戸外であっても、一度に大量のガスを放出することは危険です。

スプレー缶に含まれる可燃性ガスは空気より重いですから、囲まれたような場所に高密度でよどんでしまい、火気があれば爆発する可能性があります。

必ず戸外で作業をしよう

風通しがよく、火気がない戸外で、作業を行います。

室内でのガス抜き作業は 厳禁 です。

先ほどの動画でも触れられていましたように、特に、浴槽の中やキッチンシンクの中で作業するのは絶対にいけません。

可燃性ガスは空気より重いため、浴槽の中やキッチンシンクの中に溜まってしまいます。換気扇を回しても排気されません。というか、換気扇は電極のスパークで引火の原因になりかねませんので使っちゃいけません。

風呂場だから火の気なんかないよ、と思うかもしれませんが、ちょっとした静電気によるスパークでも発火の可能性があります。特に冬場だと乾燥しているので静電気が起きやすいですね。

寒い地方ではスプレー缶のガス抜きを室内で行うことによる事故が冬季に集中しています。どうやら寒いのでどうしても室内で作業をしてしまい、何らかの火気が引火・爆発等してしまう例が後を絶たないようです。

とくに、大掃除の時。寒いのでつい屋内で処理したくなるかもしれませんが、静電気が多い季節ですし、まとまった本数を作業することにもなりがちですので、がんばって外で作業しましょう。

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カセットコンロのガスカートリッジの場合

gas カセットコンロのガスカートリッジの場合、生ガスを噴射するとヤバい臭いが出てしまいますよね。たとえ戸外だとしても、ヘタするとご近所さんがガス会社などに通報してしまうかもしれません。

ガスカートリッジの場合はコンロでお湯を沸かしたり鍋パーティなどで使い切りましょう。

ガスカートリッジには上記のような「中身排出機構」は備えられていません。もともと、コンロ自体が中身をずっと排出しつづけるものなので、不要なんですね。

さらに、今どきのカセットコンロであれば、「ホットプレート機能」が付いています。これにより気化熱で缶の温度が下がってしまうのが防止されるので、ガスを最後まで使い切りやすくなってます。


内容物を出せない場合はどうする?

ところで、内容物を出し切ろうと思っても出せない場合があります。例えば

  • 内容物よりもガスの方が先に出てしまった
  • 内容物が固まってしまった
  • 噴出する機構が壊れてしまった
など。

こうなるともうお手上げです。

しかし仕方ないからといって、そのまま黙って中身が入ったまま捨てることはもちろんマナー違反であり厳禁です!

ダメ! また、中身が残っているままで缶に穴をあけるのも大変危険です。

このように中身が残っている場合、基本的にはそのままの廃棄は不可です。

自治体によっては以下のような救済メニューがあるところもあります。

  • 「中身入り」等の表示をすれば廃棄可能なケース

  • 消防署やクリーンセンターなどに問い合わせの上、持ち込みがOKであるケース


中身が出せなくなったスプレー缶があれば、無理せず、消防署やクリーンセンターなどに問合せしてみましょう。

中身が入ったままこっそり捨ててはいけません!!

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まとめ

スプレー缶のガス抜き方法についてのポイントをまとめます。

お知らせ
  • 正しい方法でガス抜きすれば爆発等の危険はなくなります。怖がらなくても大丈夫!
  • 中身には「内容物」と「ガス」があり、両方とも完全に抜く必要あり
  • -----
  • 中身を抜くには袋の中にペーパー類をいれて噴射!
  • 中身排出機構も活用!
  • カセットコンロのガスは無駄なく使い切り!
  • -----
  • ガス抜き作業は必ず戸外で!
  • 特にシンクや浴槽での作業は厳禁!!
  • 一度に大量のガス抜きをしないこと!
  • -----
  • 内容物が出せない場合は無理せず消防署やクリーンセンター等に相談を!

スプレー缶やガスカートリッジ等は中身を完全に使い切ってあれば、一般の金属系の廃棄物と同様に安全に廃棄することができます。

私もこれまで、スプレー缶の廃棄処理はなんとなく怖いなー、イヤだなーと思っていました。確かによく知らないで自己流でやっていたら危ないことがあったかもしれません。

今回、正しい処理方法を知ることで、気が楽になりました。


最後にひとこと。

ここで挙げたのはあくまでも一般論です。基本的に、ごみの捨て方というのは、処理を行う自治体の指示に従う必要がありますので、地元の市町村などから配布されたチラシやホームページで詳細を確認するようにしてください。


今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。





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