近年、119番通報のうちで携帯電話やスマホからの通報が占める割合が増加しています。
東京消防庁の119番受付件数でいうと、平成25年から平成29年までの5年間で、39.3% から 49.3% へと10ポイント増えています。
携帯電話からの通信は、現場からすぐにかけられるという利点がある一方で、場所を特定するのに時間がかかるという欠点があるそうです。
なにより、携帯電話から119番通報するときはどう発信すれば良いのでしょうか。すぐに分からない方も結構いらっしゃるのでは。
固定電話と同じく"119"の3つの数字だけでよいのでしょうか? 実際に試すわけにもいかないし・・・
今回の記事では、以下のことを解説しています。
一度、目を通しておかれると、イザという時役に立ちますよ!
- 携帯電話からの119番通報の方法
- どうやって最寄の消防につながるか
- 現在地の確認方法
- 注意事項
- 最近のアプリ事情
携帯電話からの救急通報のかけ方
#(シャープ)や*(アスタリスク)も要らないのね?
携帯電話からかける時でも、固定電話と同じく局番無しの"119"でOKです。
ちなみに、警察 に通報するときも局番なしの 110 でつながります。
しかし・・携帯電話の電話番号って、固定電話と違って、地域ごとに割り振られた局番が付いているわけではないですよね。
つまり「全国区」な番号がついているわけですけど、これで、最寄りの消防署につながるのでしょうか?
もし、全国からの通報がどこか一カ所に集まったりするようなしくみだと、どこかで大きな事故があったら、回線がパンクして、関係ない地域からの通報にも影響が出でしまうおそれがありそうですが・・・
どこにつながるの?
携帯電話からの119番通報は、担当ブロックごとの管轄担当局につながります。
担当ブロックとは、無線の電波がつながった基地局がある都道府県のことです。
携帯電話には市外局番はありませんが、「基地局とその地域の担当局」が紐づいているのです。
携帯電話から通報すると、最寄りの消防本部につながるまでの流れは以下のようになります。
- 局番無しの119番を押して、発信ボタンを押す
- 担当ブロックごとの管轄担当局につながる
- 住所や現在地を告げる
- 携帯電話番号を聞かれることもある
- 最寄りの消防本部に転送される
(一例です。実際は異なる場合があります)
ただ電波の関係で、最初に隣のブロックにつながることもありますが、大丈夫ですから落ち着いて現在地をお知らせくださいね。
このように、正しく最寄りの消防につなげてもらうには、場所を特定する情報がとても重要です。
ですが、現在地の地名がわからない場合もありますよね。そんな時はどうやって確認すればよいでしょうか・・・?
現在地の確認方法
そんな時はどうしたらいいの?
いろいろとヒントになるものがありますから。
現在地を知る手掛かりを探そう
例えば、以下のようなものが手掛かりになります。- 公衆電話なら住所表示あり
- 電柱の現在地表示
- 交差点なら信号についている信号名
- バス停の名前
- 公園の名前
- 橋の名前
- 駅の名前
- お店の名前
- マンション名(現場が室内なら部屋番号も)
- 会社の名前
- 高速道路であれば路線名、上りか下りか、何キロポストか
- 出発地と目的地、その間で移動した距離(時間)
==まわりに何も手掛かりがない時==
また、土地勘のある人が近くにいたら、可能であれば電話を替わってもらいましょう。
GPS機能をONに
近年、消防指令のシステムに「位置情報通知システム」の機能が備えられるようになってきました。このシステムがあれば、現在地が判らない(言えない)時でも、あなたの携帯端末のGPS機能をONにすることで、場所を特定してもらうことができます。
では、最初GPS機能を設定していなくて、通話している間に設定を行うにはどうしたらよいの?
そうするとホーム画面が表示されますので、そこからGPS設定を行うことができます。
その他の注意事項は?
格安SIMの場合
携帯電話でも、契約によっては110番や119番といった緊急通話が使えないことがあります。それはデータ通信専用SIM の場合です。
このSIM契約による携帯電話では、通常の音声通話ができない代わりにIP電話やLINEなどのアプリで「無料通話」ができます。なので通常はあまり困ることはありません。
しかし、緊急電話はそうしたサービスで対応されてないので掛けられません。技術的にどうとでもなると思うんですけどね・・・少なくとも現在は無理なようです。
この場合の対処としては、以下のようにすると良いでしょう。
- 自宅近くの消防署や交番等の電話番号を電話帳に登録しておく
- 出先の場合、住所がわかれば、「〇〇県〇〇市 消防」などでググる
ちなみに、各地の消防署の電話番号ですが、割と、最後の4桁が 0119 のところが多いみたいですよ。警察署は…そう、0110 のところが多いです。
携帯電話か固定電話か
携帯電話は、現場からすぐに通報できるので、一刻を争う状況では非常に大きなメリットです。病人の変化などもその場で伝えることができます。ただし、電波の状態が悪かったり、屋外の雑音が大きくて聞き取りにくいこともありますので、そんな場合は可能なら固定電話の方がよいでしょう。
携帯電話に限らず、119番通報をするときには次のようなことに注意しましょう。
伝える順番
119番通報をすると、オペレーターから次のような順番で聞かれると思います。落ち着いて、正確に答えるようにしましょう。- 火事?消防?
- 現場はどこか?
- 状況は?
状況からしゃべる始める人がけっこう多いようです。冷静に、まず場所から伝えましょう。
場所を先に伝えれば、その時点で消防車または救急車を出動させることができます。
状況説明はそのあとで。
通報後にコールバックも有り得ます
後で電話がかかってくることがあります。例えば、応急手当の指示をする時や、状況や場所の確認をする時などです。
電話の呼び出し音が聞こえるように、もしマナーモードになっていたら、着信音が鳴るようにしておきましょう。
運転中なら、安全な場所に停車してから
いうまでもありませんが、自動車を運転している時に電話をかけるのは大変危険です。同乗者に通報してもらうか、安全な場所に停車してから通報するようにしましょう。
転送時に無音状態になっても切らないで
回線が転送されるとき、保留音が無い場合があります。無音状態になってしまうので、電話が切れたと勘違いして切ってしまわないように。日頃、薬を飲んでいるか確認を
具合が悪くなった人が、普段、薬を飲んでいるなら、できればお薬手帳か薬そのものをを持ってくるようにしましょう。スマホ等で利用できるアプリ
通報手段が電話のみですと、聴覚や言語機能にハンディキャップがある方や、日本語が話せない外国の方にとって、いざというとき救急通報が困難になってしまいます。また、音声だけでなく映像によるコミュニケーションにより、さらなる迅速・的確な応急手当が期待されます。そこで、次のようなアプリやサービスが使えるようになってきました。
Live 119 映像通報システム
Live 119 は、通報現場と画像と音声を使ったライブなコミュニケーションをとれる、全く新しい通報システムです。千葉では令和6年5月から運用が開始されました。消防指令センターは、通報者が撮影する映像から現場の詳しい状況を確認して、視覚的な情報収集が可能です。また、情報は救急隊とも共有され、救急隊員から通報者への効果的な口頭指導も可能となります。
通報者はあらかじめアプリを入れておく必要はありません。
通報の内容により、必要に応じて、指令センターよりurlがショートメッセージで送られてきます。それをタップすると、お使いのスマホのブラウザ上でLive 119のインタフェースが立ち上がります。(途中、注意事項の確認や、カメラ使用や位置情報等の許可が求められます)
通信確立後はライブなやり取りが可能になりますので、必要に応じた撮影をしたり口頭指示に従います。
以下は東京消防庁公式チャンネルの紹介動画です。
なお、対象となるのはスマートホンのみです。通信料は通報者の負担になります。
Net119 救急通報システム
音声による119番通報が困難な聴覚・言語機能に障碍のある方をサポートし、消防へ通報しやすくするシステムです。スマホなどから通報用のWEBサイトにアクセスし、「消防か救急か」の区別と、どこに出動すべきかの位置情報を入力すれば、即座に消防本部に通報が入ります。その後にテキストでチャットすることで詳細な状況を確認するしくみです。
GPS機能にも対応しています。良くいく場所の登録も可能です。
チャット機能には定型文機能があり、できるだけ文字入力を少なくなるようになっています。
いざという時に慌てることのないよう、通報練習をすることも可能です。
なお、このシステムを利用するには事前登録が必要です。
Net119緊急通報システムの概要(総務省消防庁のHP)
救急ボイストラ
国立研究開発法人情報通信研究機構(略称NICT)が開発した、多言語翻訳アプリである「VoiceTra(ボイストラ)」をベースにしたもので、救急用に開発されたものが「救急ボイストラ」といいます。救急用の「定型文」も登録されており、外国語による音声と画面の文字によるコミュニケーションが可能です。
文字ベースでやりとりできるため、外国の人だけでなく、聴覚障碍者の方のコミュニケーションサポートツールとしても利用できます。
多言語対応三者通話システム
これも外国の方を支援するシステムです。外国語による119番通報があった場合や、外国人が関係した救急現場で24時間365日、活用されています。
ちょうど通訳の方が間に入る形になり、一つの通話回線上で三者が会話することができます。
消防庁では、2020年の東京オリンピックまでに全国の消防本部でこのシステムを整備する方針とのことです。
救急ボイストラと三者通話システムの概要(総務省消防庁のHP)
おわりに
携帯電話で救急通報する場合のポイントをまとめます。まず一番大切なことは、素早い通報と正確な位置情報です。
その他、必要なことをいろいろ質問されますから、よく聞いて、あわてず、落ち着いて 答えるようにしましょう。
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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