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ファスナー合流(ジッパー合流)の基本的なことについては、以前の別記事「高速道路での合流のコツ!渋滞時にはジッパー合流/ファスナー合流」で書きました。今回はそれを補足する形の応用編になります。

簡単におさらいしておきますと、ファスナー合流とは、
「車線減少などのため、隣の車線の車列に合流する際、渋滞している場合は車線が減少する一番奥までいって、一台ずつ交互に合流する」
というものです。

ファスナー合流を適用すべき典型的なケースとしては、工事等で車線が減少する場合や、高速道路のICやサービスエリア等における合流(流入)などがあります。


しかし、例えば以下のようなケースではファスナー合流すべきかどうかちょっと迷います。

  1. 高速道路で出口渋滞している場合 ⇒ 奥まで進んでから出口渋滞に合流してよいの?
  2. 車線減少ではなく導流帯のみがある場合 ⇒ 合流のために停まって待つと合流しない車に対して迷惑では?

今回はこれらのケースについて、掘り下げて考えてみたいと思います。
(なお、簡単のため特に断らない限り渋滞時を想定します)

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1.高速道路で出口渋滞している場合

高速道路の出口が渋滞している場合、出口からの車列が分岐車線あるいは本線まで伸びてくることがあります。

この場合、「ジッパー合流」的な考え方をして、早めに出口渋滞の車列に並ばず、分岐ぎりぎりのところまで行ってから車列に合流するのが正しいのでしょうか?さすがになんかズルイ気がするのですが・・・


結論から言えば、こんな行為は 本当にズルイ です。やってはいけません。
なぜなら、これは正しい「合流」ではなく、ただの「割り込み」だからです。



基本的に、高速の出口は「合流」ではなく「分岐」です。
分岐は早めに行うべきです。

ここまで走行してきた車線(本線)が無くなるわけではありませんし、導流帯などで特定の地点から左に出ていくよう指示があるわけでもありません。つまり、出口への車列に途中から合流する(割り込みする)合理的でやむを得ない理由などありません。ただあるのはその出口で降りたいという自分勝手な理由だけです。

つまり、必然性もない場所で自分勝手に止まって合流を待つことは渋滞の原因となりますし、危険ですから許されないということです。

では、出口行列に並びそこなったらどうすればよいのでしょう?

逆走も禁止ですから、厳密なことを言えば、そのまま進んで、いさぎよく次のICまで行って降りるべきです。

なぜ分岐は早めにおこなうべきなのか?

そうしないと分岐車線を有効に使えないからです。有効に使えないと、出口渋滞がそのまま本線の渋滞に直結してしまいます(図①)。分岐車線が有効に使えれば、ある程度の渋滞なら緩衝地帯になってくれます。

bunki
ここで、出口渋滞が分岐車線を越えるぐらい長く伸びてしまった場合を考えてみましょう(図②)。

基本的に路側帯は故障等の緊急時以外は進入してはいけないので、法律的にはAの地点から分岐するべきです。しかしそうすると本線に渋滞が発生してしまうため、一般的にはBのように路肩にはみ出て並び、分岐するクルマはCの地点で最後尾に並ぶことが多いと思います。

法律的には路肩を走ることは不適切なんですが、本線での渋滞や追突を避ける意味もあってか、取り締まりの対象にはならないようです。緊急車両は本線を通ればスイスイ進めるわけですからね。

もし、本線側も渋滞している場合ですと、ひょっとしたら緊急車両の走行スペースを確保するために、Bのように路肩に並ぶことは規制されるかもしれませんね。


以上が、出口渋滞における考察でした。一言で言えば、出口では降り損ねないように、とにかく早くアクションを起こし、出口車線を有効に使うことが大切かと思います。

では次から、導流帯について考えてみましょう。


2.車線減少ではなく導流帯のみがあるケース

こちらのケースはどういう状況かというと、下図のような場合です。

右折専用レーンの手前に導流帯がある


物理的に車線が減少するわけではなく2車線のままで、右側の車線の交差点手前に導流帯(ゼブラゾーン)が描かれている状況です。

例えば、片側2車線だった道路が交差点の手前で1車線に車線減少し、交差点では直進レーンと右折レーンに分かれる場合なんかが典型的と思います。


導流帯は道路交通法では「道路標示」とされています。道路標示には規制表示指示表示があって、導流帯は指示表示です。

つまり、クルマの流れを導くものであって、その表示のエリアに入ってはいけないという規制があるわけではありません。(もちろん円滑な交通のためには指示通りできるだけこの上を走行しない方がよいのですが)

つまり、上の図でいいますと、この導流帯は、ここまでこの車線を走行してきた非右折車(直進車および左折車)に対して、1車線に合流するよう導くためのものです。右折車両が頻繁な車線変更を避けるという意図のもと、導流帯の上を走ろうとする行為を規制するものではありません。

ということは、このケースで、非右折車がジッパー合流しようとして、①の地点で合流待ちをすればどうなるでしょう?後続の右折車の進行を妨害し、迷惑をかけてしまう可能性がありますね。

このケースでは①のクルマの後続の右折車は十中八九、導流帯の上を走ってそのまま右折レーンに入るでしょうから。


そこで、ほとんどの方は早めに左車線に入ろうとします(②の地点)。後続の右折車に迷惑をかけまいとする心理がはたらくんだと思います。こういうところは日本人の美徳なのでしょうね。

でも、一方で、それは左側の渋滞車線が長く伸びてしまうことにもなり、渋滞の影響が他の道路に及んでしまうことにつながります。


非右折車にとってみれば、ここは導流帯という「指示表示」によって示された合流点です。一方で、右折車にとってみれば、非右折車がいなくなる分岐点ということになります。

そういった二面性があるんですね。


私としては、このケースは単純にシロクロつけられない、グレーなケースだと思います。

そうは思いつつ、鍵を握っているのは導流帯の位置ではないかと考えています。
と、私が考えたその理由は以下のようなものです。

導流帯が交差点に近ければ、右折車にとって「不利」で、非右折車にとって「有利」となります。有利・不利って何のこっちゃってことですが、右折車は交差点の近くまで進路を妨害されるので、前方の信号が青なのに先に進めない場合があるかもしれません。一方で非右折車はちゃんとジッパー合流すれば2車線を長く有効に使えるので、渋滞の影響を短くすることができます。

逆に導流帯が交差点から遠ければ、逆の理屈で、右折車にとって有利で、非右折車にとって不利になります。あんまり交差点から離れすぎてますと、右折レーンの右車線ばかり長くスカスカで、左車線の渋滞が長く延びる効率の悪い道路となってしまいます。

すなわち、交通量の関係から、導流帯の位置はこのあたりのバランスがちょうどいい塩梅になるように設計されているのではないかと推測しています。

まあこれはまったく私の自分勝手な解釈といえばそれまでなんですが、それを前提とさせてもらえるならば、車線を有効に使い、渋滞を短くするという意味でこの導流帯の手前、①の地点でジッパー合流するのは合理的である。交通量の関係で右折車への影響はさほど無い。と言えるのではないでしょうか。


理屈はそうでも・・・・このケースで非右折車が「ジッパー合流」するのは、普通の合流のケースよりも白い目で見られる度合いが大きいでしょうね。かなり厚いツラの皮か、強いハートをもってないとできないでしょう。

私も小心者なので、基本的には早めに左に寄って渋滞の最後尾に並び、車列を長くするのに一役かってます。
そうして途中から合流してくるクルマに対しては迷惑に思いますが、キッチリ奥まで進んでジッパー合流してくるツワモノに対しては敬意をはらって道を譲ります。

おわりに

つらつらと書いてきましたが、論理破綻してるかもしれませんね。正直自信がありません。


特に導流帯のケースは考えれば考えるほどややこしい気がします。
私も自分なりに上に書いたような理屈は考えてるんですけど、通常はおとなしく渋滞の後ろに付くようにしてます。

理屈じゃなく、たぶんその方がイラつく人が少ないでしょうから全体として見ればそれが正解なんだろうと思います。

ただし、以下のような場合は白い目におびえながら奥まで進んでジッパー合流することもあります。
  • よっぽど急いでいる時
  • 渋滞が長く伸びすぎて他の道路に影響してる時
  • 渋滞の最後尾に並びそこなった時



今回は以上です。
最後までお読みくださりありがとうございました。


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