いつもはクロスバイクで走る片道10kmのコースをママチャリに乗って自転車通勤してみました。
私も学生時代にはママチャリに乗ってましたし、いろいろママチャリに対するイメージがあったんですが、今回、実際に通勤の足として使ってみるとだいぶ印象が違っていました。
その辺りの感想などをレポートしてみたいと思います。
スポンサーリンク
■ 目次
事の発端は、先日、知り合いから以下のような相談を受けたことです。
「自転車通勤をしたいけど手持ちのママチャリでも大丈夫かな?」
自転車通勤の目的はダイエットとのこと。そういえば最近体形が丸くなったような気がします。
彼の自宅から職場までの距離はおよそ8kmで、わずかにアップダウンがあります。
「ママチャリでも大丈夫だと思うけど、スポーツ車のほうが楽だと思うよ」
と、その時はあたり障りの無い適当なコメントを返しましたが、後になってちょっと気になったので、自分で試してみることにしました。ダイエット目的なのに「楽」というコメントも微妙だったし・・・
実践後の率直な感想と走行にかかった時間
いつもの片道10kmの自転車通勤をママチャリで。結論としては、最初はよかったのですが、思ったより大変で、10kmをいつもより長く感じました。
最終的に、今回会社までの片道10kmにかかった時間は以下のとおりでした。
太ももに乳酸がたまるわ、腕や肩が緊張して疲れるわで、なかなかどうしてハードでしたよ。
まずお尻が痛くなりました。ママチャリのサドルは大きくてスプリングがついててラクチンってイメージがあったからまずこれが意外でした。
それに、いつものクロスバイクであれば朝から頭がすっきりするところが、ママチャリの場合は筋トレ後の疲労感に似たボーッっとする感じが残りました。
距離的に言えば、3kmを過ぎたあたりからきつくなってきて、5kmからは「もうやらんぞ~」とやや後悔モード。
今回の試走の条件
いつもの自転車通勤コース
詳細を語る前に、まずはコースの説明から。片道約10kmでいくつかルートがあるのですが、一番よく使うルートを選択しました。
主な道路として、幹線の国道を走ります。自転車専用レーンがあって、車との距離も十分確保されており、比較的走りやすいコースです。
相談者の想定コースより距離が少し長いですが、ほとんどアップダウンがない平坦路です。(相談者のコースには少しアップダウンがあります)
使用したママチャリ
チェーン店ブランドのものです。購入価格は忘れましたが、確か2万円はしなかったような気がします。27インチのごく一般的なママチャリです。外装6段変速機を備えています(ちなみに私のクロスバイクの5段変速より、ギアの数多いです)。
事前の調整
スポーツ車ライクに走るにはハンドル位置は低く、サドルは高い方が良いです。その方がペダリングの効率が良くなるからです。それを含め、以下のような事前調整(チェック)をしました。タイヤの空気: 目一杯いれてやりました。
ライト: 点灯することを確認しました。ダイナモ(発電機)が懐かしい!
ロック: 付属のちゃちい鍵は不安なので、クロスバイクで使っているチェーンロックを拝借。
ハンドルの高さ: 既に一番下になってました。
サドルの高さ: かなり低めのセッティングだったので、このままでは膝をヤッてしまいそうです。今回はシートポストの限界まで高くしました。
サドルに座ったままで、両足ボシキュウ立ちはできるけれども、両足をべったり付けることはできない高さになりました。
■ 注意!!シートポストは上げすぎないで!!
シートポストが外れたり、支柱(シートポストを入れる鞘に相当します)の固定部分が壊れるおそれがあります。走行中だと命にかかわる事故にもなりかねません。
多くの場合、限界を示すラインがシートポストに刻印されていますので、その限界ラインを超えてサドルを高くしてはいけません。
そのラインが無い場合、あるいは汚れ等で判別が難しい場合の目安ですが、支柱直径の3倍以上はシートポストを支柱に差し込む必要があるといわれています。
限界まで高い設定にする場合は念のため自転車屋さんに相談されることをお勧めします。無理せず長いシートポストに交換してしまうという方法もあります。
シートポストが外れたり、支柱(シートポストを入れる鞘に相当します)の固定部分が壊れるおそれがあります。走行中だと命にかかわる事故にもなりかねません。
多くの場合、限界を示すラインがシートポストに刻印されていますので、その限界ラインを超えてサドルを高くしてはいけません。
そのラインが無い場合、あるいは汚れ等で判別が難しい場合の目安ですが、支柱直径の3倍以上はシートポストを支柱に差し込む必要があるといわれています。
限界まで高い設定にする場合は念のため自転車屋さんに相談されることをお勧めします。無理せず長いシートポストに交換してしまうという方法もあります。
以上のようなセッティングで、スポーツ車ほどではありませんがやや前傾姿勢となりました。タイヤの空気もいっぱいで軽いです。
まあ、ママチャリとしてはこれが精いっぱいの調整かな
(^^;
では次から、具体的な走行レポートをしていきますよ~
Here we go!!
走ってみた感じはどうだったか
出だしは快調
オジサン+サングラス+ヘルメット+ママチャリという姿。ちゃんとヘルメットを装着して出発。予想はしてましたがけっこう目立つみたいで。信号待ちしてるとなんか視線を感じました。
やや自意識過剰ぎみにママチャリを走らせます。
乗り心地ですが、確かにイスに座った感じで悪くはないです。タイヤが太くてエアがたくさん入っているのでクッションもいい感じ。サスペンションは着いていませんけど小さな段差ぐらいはあまり気にせず乗り越えられます。
いつもとは違う自転車に乗ると、同じ道でもだいぶ感じが違います。おそらく視点の高さと視線の向きが違うからでしょう。
サドルの位置はママチャリの方が低いと思いますが、姿勢が起き上がっている分、視点の高さが多少高くなっているはずです。数センチレベルの差だと思いますが、それだけで周りの雰囲気が少し違って感じられました。
それにいつものスポーツ車だと、前傾姿勢なので上目使いになり「行くぜ!」というやや肉食系モードでペダリングしてるんですが、それと比べるとママチャリだとなんか穏やかな草食系の気持ちでペダルをこいでた気がします。
このように最初は目新しさもあって、気持ちよく快走できてたのですが・・・
スポンサーリンク
途中からいろいろきつくなってきた
だいたい3km過ぎたあたりから、ちょっとずつきつくなってきました。お尻が・・・
まず、お尻が痛くなってきました。スポーツ車のサドル経験は長くても、ママチャリのサドルはちょっと勝手が違うようです。スポーツ車では前傾している分、サドルとハンドルとペダルの3点で体重を分散して支えるようになっています。これに対し、ママチャリではいすに座った姿勢となり、楽そうに思われますが、体重が全てお尻にかかってしまいます。
今回のママチャリはできるだけ前傾にセッティングしましたが、やはりこのあたりでスポーツ車との大きな違いを実感しました。
立ちこぎをするぐらいしか姿勢のバリエーションが無いので、しばらく走っているとお尻が痛くなってきました。
逆に言うと、こうしたことへの対処として、ママチャリのサドルは大きめになっていて、スプリングがついてるのかもしれませんね。
スポーツ車のサドルも最初はお尻が痛くなるといわれますが、しばらくすると慣れてきます。少しお尻を浮かせて休ませることもできます。つまり、「お尻の逃げ場がある」んです。
ママチャリによるお尻の痛みも慣れるんでしょうかね?お尻を浮かせたり姿勢を変えることが難しく、「お尻の逃げ場がない」ですから慣れるというのは難しそうな気がします。
フトモモが・・・
ママチャリはスポーツ車より大衆向けのものですし、やさしい印象があります。一方でスポーツ車は上級者っぽくてハードなイメージがあるかもしれません。でも実際はスポーツ車の方がずっと楽ちんなんですね。同じ走行距離では。スポーツ車は快適で長い距離走れるので、結果として無理せずにたくさんの有酸素系の運動量を稼げます。でもママチャリははっきり言って体力的にきついので長い距離を走るのがしんどくなります。お尻の問題もありますが、やはりモモが疲れてきて乳酸がたまってきてしまうからです。
ご存知のように、ママチャリは乗り降りのし易さや足つき性を重視しているため、サドルが低く設定されています。その結果ペダリングの際に足が伸びきらず効率が悪いのです。中腰で歩くあるいは深めのスクワットトレーニングをしている感じです。ヒザにも負担がかかります。
例えば上り坂ではこのスクワット的負荷がとても大きくなるため、スポーツ車だったら座ったままやり過ごせるような斜度でも、ママチャリでは立ちこぎしないと無理という状況になります。
また車重があるので出だしが重いです。特に信号などストップ&ゴーが多いコースではフトモモへの影響が大きくなるでしょう。
今回、フトモモへの負担がいつもよりきつかったため、会社についたころの疲労感はまさに「筋トレやったぜ」という感じになったのでした。
これがスポーツジムなどでの意図した運動の結果であれば「心地よい疲労感」と言ってもよいのですが、これから仕事をしようという時にはちょっと勘弁してくれ、となるわけです。
安定しない。そして腕も肩も・・・
ママチャリの長所の一つとして、低速時の安定性があるとよく言われます。ただしこれはハンドリングが安定しているということではなく、サドルが低くて両足がべったり地面につくというところから来ているんだな、と思いました。
今回、ペダリング動作の効率を少しでも改善しようとサドルを目一杯高くしたんですね。こうして両足べったり付けられない状況になると、低速でもふらついてしまって心許ない感じがしました。
なんでだろうと理由を考えたのですが、ママチャリのハンドルって、位置が高くて押さえがききにくいからではないでしょうか。スポーツ車の場合は前傾姿勢なので、上からハンドルを押さえる形になる(体重の一部を支える)のに対し、ママチャリは体重でハンドルを押さえることができません。そうなると腕の力で操作するしかありません。
だから低速でも腕をつかうし、ふらつきます。ママチャリの大きなアドバンテージであるはずの前カゴに重い荷物をいれたりするとさらにその負担が増してしまいます。
こうしてハンドリングを安定させるために腕や肩が緊張している状態が続き、腕も肩も疲れました。
一方、スポーツ車の場合は長く乗っても腕が疲れるということがあまりありません。坂道上るときや平地でがんばってこぐときには、ハンドルを引き付ける力が必要になってきますが、それ以外の時はただ体重の一部を支えるだけ。グリップの上に手を乗っけているだけと言ってもよいでしょう。
ママチャリのハンドルは持ちやすそうという印象があっただけに、長く乗っていると腕や肩に負担がくるとは思いもよりませんでした。
やっぱりスピードがでないぞ!!
今回のママチャリは6段変速機がついているので、いい走りをする(スピードが出しやすい)のかなと期待しておりましたが、ちょっと期待ハズレでした。このギアはスピードを出すためのものではなく、上り坂を登ることに主眼が置かれているんですね。コースは平坦といいましたが、実は一箇所だけガッツリした上りがあります。そこではさすがに6段変速機が威力を発揮し、苦も無く坂を上れました。
しかし、平地では軽いギアにするとチェーンが外れたかと思うぐらいこぎ応えがなく、最も重くしても、もの足らない感じでした(最も重いギアでも私の5段変速クロスバイクの中ほどのギアと同程度の印象)。
ギアのことだけではなく、上でも述べたような
- 効率の悪いペダリング
- 起き上がった姿勢による風の抵抗
- 重い車重
- 大きなサドルによる足の動作への影響
などもスピードが出せない要因となります。
走り終えて
最初はよかったものの、3km過ぎからだんだんきつくなってきて、5kmあたりから正直イヤになってきました。スポーツ車の軽快さと比べてしまうとやはりどうしても一定の距離以上ではママチャリはきつかったなーというのが実感です。
今は冬ですので、いつもは汗をかくまでもなく職場に着きます。しかしママチャリでは汗をかいてしまいました。これが夏だったらと思うとさらに大変そう。
でも確かに運動不足解消にはよさそうです。エアロビクス的なもののほかに筋力トレーニング的な負荷も高かったような気がします。
これは私がママチャリに乗りなれていないこともあるのかもしれませんし、もっとママチャリらしく優雅にのんびり乗っていれば楽だったかもしれません。でも通勤である以上、遅刻はできません。いつもと同じ時間帯だったので、ちょっとがんばってしまいました。
ママチャリは自転車通勤に向いているか?(私見)
結局のところ、ママチャリによる自転車通勤はアリかナシかというのは、通勤距離や自転車通勤に求める目的によってケースバイケースかと思います。距離が短い場合(今回の経験では3km以下)
距離が短ければ、ママチャリは問題なく使えると思います。いや、逆に距離が短い場合ほど、スポーツ車では効率が良すぎて運動負荷がもの足りないかもしれません。そんなときはママチャリの非効率さが逆に適度な負荷となっていい感じかもしれません。距離が長い場合(今回の経験では5km以上)
距離が長くても、可能か不可能かと言えばもちろん可能です。しかし結構な身体的負荷がかかるでしょう。いちど走ることが可能ということと、継続して続けられるかということは別です。きつかったり、快適でないと長続きは難しいように思います。ママチャリのロングライディングは意外にタフであり、運動不足解消としては十分な負荷を得られそうです。しかし距離が長くなると正直つらくて楽しくないように思いました。
ダイエットを主目的とするなら継続できることが重要な要素となります。そういう目的で自転車通勤を考えている人には長距離でのママチャリは向かないような気がします。
自転車通勤を始める際にとりあえず手持ちのママチャリで乗ってみるのは良いと思います。とにかく最初のハードルを下げるという意味では有効ですよね。
また、せっかく高い自転車をかっても長続きしなかったらどうしようという気持ちもよくわかります。
少しやってみて、続けられそうと思ったら、あるいは続けたい気はあるけど思ったりキツイから挫折しそう・・・ということであれば、ママチャリに固執することなく、ぜひスポーツ車への乗り換えを検討されることをお勧めします。
机上で考えていないで、まずは一度、スポーツ車に試乗してみませんか。それから考えてもよいと思いますよ。
ママチャリを免罪符にしてはいけないと思う。やっぱし。
ところで・・・
「ママチャリだしスピード出さないから、歩道をメインに走ってヘルメットなしでもいいんじゃない?」
とお考えの方、あるいは逆にそうしたいからママチャリを選択される方もいらっしゃるかもしれませんね。
でもやはり、ヘルメットを着用することを強くおすすめします。
私自身、普段はクロスバイクで車道を走っているので、ママチャリに乗っても車道を走ることは何の違和感もありませんでした。逆に、歩道は段差がたくさんあるし、歩行者との接触に注意しないといけないので危険だしわずらわしいです。
要するに、ちょっとの距離なら歩道を走るのは便利かもしれませんが、長い距離走るとなると、わずらわしさが前面にでるので、歩道メインではなくどうしても車道メインになると思います。そして自然とスピードアップすると思うのです。
自転車は軽いですから、低速だってなにかにぶつかれば簡単に弾かれてこける可能性があります。そこそこのスピードを出すのであればなおさら。ママチャリだろうが路上では危険であることに変わりありません。
最近のヘルメットには、コンパクトに折りたためるものや、帽子に見えるようなおしゃれなものもありますよ♪
おわりに
今回の体験から、ママチャリでどれくらいの距離まで自転車通勤できそうか、独断と偏見で以下のような線引きをさせていただきます。- 3km以下はママチャリでも問題なし。
- 5km以上はスポーツ車がおすすめ。
- 3km~5kmはグレーゾーン。
私の感想はママチャリにとってややネガティブなものになりましたが、これは10kmという距離が、ママチャリ本来の商品コンセプトに比べてやや長い距離であったからでしょう。やはり適材適所だと思います。
それに1回しか試してませんので、私の体力的な問題やちゃんと見えていない部分もあったかもしれません。そのあたりはご容赦ください。
今回の相談者氏には、ママチャリよりもスポーツ車を購入することを勧めたいと思います。
理由は、通勤距離が8kmあって、しかも少しアップダウンもあるということ。運動不足解消の中でもダイエットが主な目的なので、上の考察のように継続すること重視すべきと思うからです。
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
【自転車通勤とクロスバイクのページ一覧へ】
スポンサーリンク