家の玄関のわきに、いつか捨てようと思っていたツーバイフォーの端材をしばらく放置しておりました。
昨年の6月ごろ、それをひっくり返してみたところ、
大量のシロアリが
ぞわぞわぞわぞわぞわぞわ・・・
その数、何千、何万か。実際に動いているシロアリを見るのは初めてで、一瞬、息が止まりました。
築十数年の一戸建てですが、とうとう我が家にもシロアリがやってきたようです。
実は、自宅を建てる際にはシロアリについてもいろいろ調べておりまして、そうした中で、自分自身でも対策ができる余地があるという知見はもってたんです。まあ、耳学問ですが。それで今回、このシロアリ対策を自分でやってみることにしました。
シロアリ対策にはいろいろな方法がありますが、今回の方法はベイト工法とよばれるものです。かかった費用は約12,000円也。
結果として、幸いにも自宅への被害はなく、駆除は成功したようです。
この記事では、
- 今回使用した「ベイト工法」の概要
- DIYシロアリ駆除体験記
- シロアリを発見した際の注意事項
なお、今回はシロアリの種類がヤマトシロアリで、かつ被害が限定的だったということもあり、DIYで成功したと思われますが、同じ方法で100%うまくいくとは限りません。
もっと危険な種類で、家屋の食害が進行していれば業者さんに相談するのが第一選択となる可能性もあります。本記事を参考にされる場合は、自己責任でお願いいたします。
もっと危険な種類で、家屋の食害が進行していれば業者さんに相談するのが第一選択となる可能性もあります。本記事を参考にされる場合は、自己責任でお願いいたします。
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自分でできるDIY向き「ベイト工法」
ベイト工法とは、例えて言うとゴキブリ駆除の「コンバット」みたいなもの。ベイト剤という遅効性(ゆっくり効く)の薬剤をいれたケースを家の周りに埋設し、薬剤を巣に持ち帰らせて集団ごと根絶やしにできる効果が期待できるシロアリ駆除方法です。
使用する薬剤の危険性が低く、専門的な工具や安全用の防具等の負担もありません。比較的に安全・簡単で施工のハードルが低いため、DIYに向いています。
ベイト工法のメリット・デメリットを整理すると、ざっと次のようになります。
メリット
- 安全性が高い
- 臭いがしない
- コロニーごと根こそぎ退治できる
- 「トラップ(わな)」として、予防効果も期待できる
- 残存性がある(長期間にわたって効く)
- 建物に穴をあけるなど損傷を与えなくて済む
- 設置が簡単
- DIYでやれば費用が抑えられる
デメリット
- 即効性がない
- 定期的なチェックが必要
- 適切な場所への設置が難しい
- 確率的な当たり外れがある
即効性がないことが一番のデメリットですかね。そういった点では、すでに被害が広がっていて、早急に駆除しないといけない場合には向かない方法です。
想像以上に、シロアリの食害は速いですからね。。。
おびき寄せるしくみ
今回使用したのは シロアリハンター(メーカーHPへ) という市販されているベイト薬剤です。そのケースの中には、シロアリが好む松材と、薬剤がしみこんだ紙材が入っています。「シロアリが好む」と言っても、遠くにいるシロアリを誘引するほどではなく、数センチの距離でやっと気づいて寄ってくる程度だそうです。
なので、近所からシロアリを呼び寄せる心配はないのですが、その裏返しとして、設置場所によって当たり外れがあるということです。要するに地雷みたいなものです。
適切な場所に、ある程度の数を仕掛けないと、気づかれないまま運よく(?)素通りされてしまう可能性もあります。いったん誰かが気づけば、集団で食べに来てくれるんでしょうけど。
今回の例のように、シロアリの集団を発見した場合には、直接すぐ近くに設置することができますので、確実な効果が期待されます。
薬剤の種類
ベイト工法で使用される薬剤は脱皮阻害剤(昆虫成長制御剤、IGRとも言われる)といい、脱皮をする昆虫だけに効くもので、人やペット、植物にとって安全性が高いものとされています。また、臭いもありません。これを食べた昆虫は、成虫になることができません。成長できない幼虫のまま死んでしまうので、繁殖ができず集団として死滅に追い込まれます。逆に既に成虫の個体には影響が少なくてすぐに死なないのですが、そのためせっせと薬剤を巣の中に運び込んでくれるのです。
シロアリハンターでは、有効成分として ビストリフルロン という脱皮阻害剤が使用されています。
この手の薬剤は効き目が長く続くことも特長で、シロアリハンターの有効期間は2年間となっています。設置しておくだけで、その期間はシロアリ被害を予防する効果が期待されます。
ただし放置で良いわけではありません。次のような対処も必要です。
- 時々、埋めたケースをチェックをする
- ヒットしていたら臨戦態勢に移行(周りにベイト剤を集中配置する)
- 有効期間が過ぎたら更新
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シロアリが出た!
(駆除体験記)
今回の我が家のシロアリ騒ぎとDIY駆除。その内容をここからご紹介していきます。被害状況の確認
シロアリの姿を発見したら、まず真っ先に行うべきは被害状況の確認です。そのポイントは以下の二つ。
- シロアリを発見した場所の周囲を徹底的に観察
- 家全体のシロアリ被害チェック。特に床下を重点的に
周囲の観察
まず第一に、シロアリを発見した場所の周囲に、他につながるような蟻道がないかを確認する必要があります。今回は、基礎に接するコンクリート(スロープ)の上に置いていた木材が食害現場でした。見たところ、そこから基礎の外壁に沿って上に伸びているような蟻道は確認されませんでした。
そっと木材を動かして、基礎とスロープが接する部分(地下に向かう部分)も確認してみましたが、シロアリが往来しているような通路らしきものは確認できませんでした。
以上の観察から、この木材にだけに巣くっているように思われました。とはいえ、断定はできないので、家屋全体のシロアリ被害チェックも必要です。汚れてもよい服に着替えて、家の床下に潜りました。
家全体の被害チェック
我が家はべた基礎の構造になっておりまして、床下は「外部(地面)」ではなく、コンクリートで囲われた「内部」となっています。こんなこともあろうかと、一般的な基礎高さに比べ、多少床下を高くしていたので、ほふく前進ではなくて、膝立ちの四つん這い歩行ができました。
現場近く(玄関近辺)を念入りに、床下をすべてチェックしましたが、蟻道はもちろん、一匹のシロアリも見つかりませんでした。木部をたたいての打音チェックもしっかり硬い音だし、大丈夫そうです。
家じゅうの木製家具やら、柱、屋根裏部屋の羽目板などもざっとチェックしましたが、家の中にシロアリは全く見られませんでした。
シロアリの種類を推定
日本で被害をもたらす代表的なシロアリは、主に「イエシロアリ」と「ヤマトシロアリ」の二種類がほとんどで、事例は少数ですが「アメリカカンザイシロアリ」と「ダイコクシロアリ」というのも存在します。どうも、図鑑やネットの写真を見る限りでは、ウチに出たのは「ヤマトシロアリ」のようです。
ヤマトシロアリは、地下に巣は作らず、加害個所に住み着く習性があるとのこと。
被害が確認されたのは外に放置してあった木材だけ。そんなところも、ヤマトシロアリっぽい感じです。
対処方針を決定!!
以上のことから、住宅本体には被害は見られず、さほど緊急を要する状況ではないと判断しました。いよいよ、DIYによる「ベイト工法」で対処です。緊急を要さないとはいえ、できるだけ早く動いた方が良いことは言うまでもありません。さっそく、武器(薬剤)の手配にとろかかりました。
薬剤の入手
シロアリのベイト用薬剤として、イカリ消毒の「シロアリハンター」が有名で、市販されています。今回はケースタイプとエアゾールタイプの2種類を使用しました。
ケースタイプ
ケースタイプは、中に薬剤をしみこませた紙と誘引用の木材が入っています。そのケースをシロアリが出た箇所やいそうな場所に設置します。エアゾールタイプ
エアゾールタイプは、予防的に床下などに散布するような場合に使用します。広範囲に散布できるよう、すんごいジェット噴射で薬剤が出てきます(約15秒で全量噴出しきってしまいます)。薬剤の有効成分はケースタイプと同じものです。どちらも、ネットですぐに購入することができました。↓
後日近所のホームセンターで探してみましたが、たまたまかもしれませんが見当たりませんでした。ひょっとして広く売り出せない裏事情などあるのかな・・・なんて深読みしちゃいましたが、ユーザーを選ぶ商品(正しく扱わないと十分な効果が得られない)であることは確かです。
必要な設置個数は?
今回は、ケースタイプとして15個入りのを2セット、計30個分を購入しました。体系化されているベイト工法の情報をいろいろ調べてみると、設置間隔はだいたい 1m~3m が標準的とのこと。
もちろん、数が多い方が確率的に高い効果が望めるのは間違いありませんが、上記を目安として、費用対効果を考慮して次のように設置個数を決めました。
例えば、一般的な建坪25坪の家だとすると、1辺が9mほど。基礎から少し離したところに設置するとして、設置場所の外周は4×10m=40m ぐらい。そうすると設置個数は14個~40個が目安ということになります。
たっぷりローンが残ってる大切なマイホームですので、今回はがんばって30個としました。
30個のうち2個を食害現場直近に配置し、残り28個を家の外周に均等に置けば、単純計算で1.4mほどの間隔で設置できることになります。
たっぷりローンが残ってる大切なマイホームですので、今回はがんばって30個としました。
30個のうち2個を食害現場直近に配置し、残り28個を家の外周に均等に置けば、単純計算で1.4mほどの間隔で設置できることになります。
対策を実行
シロアリに刺激を与えないよう、こそっと問題の木材の両側に、テープでケースを取り付けました。さらに、被害を受けたのと同様の木材を用意して、その裏面にエアゾールで薬剤(ベイト材とおなじ成分)をたっぷりと吹付け、被害のあった木材の上にそっと載せておきました。(2枚の被害木材の上に、薬剤を付けた2枚を追加)
おそらく、シロアリはこの「高層マンション」の上階の方にも侵入してくるはず。そこでたっぷりとベイト剤を召し上がっていただこうという寸法です。
一週間後ぐらいに見た時には、上の階にもびっしりシロアリがいましたので、刺激で逃げ出すこともなく、狙い通りに事は進んだようです。
ベイト工法は効果が表れるまで、数か月から半年以上かかるとのことなので、このまま放置です。。。
残り28個のケースは、家の周りにぐるりと埋設しました。今後のシロアリ侵攻にそなえて防御・監視します。
結果
しばらく忘れてました。4~5か月後にチェックしたところ、あれだけうごめいていたシロアリは完全に消滅していました!!薬剤を付けておいた上階層にもしっかり食害を受けた痕跡が残っていて、そしてもはやどの階層にもシロアリはいませんでした。
というわけで、今回のDIYシロアリ駆除作戦は成功したようです。
次から、今回のポイントについて解説していこうと思います。
慌てるとかえって逆効果となってしまうこともありますので、シロアリを発見したら、まず最初にこうしたポイントを気を付けるのがよろしいかと思います。
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シロアリを発見した時の4つの注意事項
今回、DIYでシロアリ対策を行うことに際し、特に意識した注意事項は次の4点です。- 被害状況の確認は非常に重要
- 刺激しない
- 安易に殺虫剤を使わない
- DIYに固執しすぎない
1. 被害状況の確認は非常に重要
シロアリ対策は初動が重要です。最初の対応を誤ると、かえって被害が拡散することにもなりかねません。まずは被害状況を確認することが非常に重要です。
シロアリを発見した被害箇所から、周囲につながる蟻道がないかを確認します。それから、住宅の床下にもぐってのチェック。
特に イエシロアリ という種類は地中にコロニーを形成して、床下から住宅の上部へと被害を広げます。
シロアリの蟻道とは、外界と接しないでシロアリが移動ができるよう、土でつくられたトンネルのようなものです。地下にコロニーがあって、そこから家にシロアリ被害が広がっていたりする場合には、基礎部分のコンクリート部分にこうした蟻道が見られます。
ということで、まずはシロアリを発見した場所の周囲、そして床下を重点的に、家全体をできる限りチェックすることが重要です。
また、ヤマトシロアリ など、地中に巣は作らず、加害個所に直接住み着く種類のシロアリもいます。なので、地面からの蟻道がないからといって安心はできません。
2. 刺激しない
シロアリは非常に敏感で警戒心が強い生き物です。刺激を与えすぎると四方に逃げ出してしまい、さらに被害範囲を広げることになりかねません。
シロアリを見つけると最初ビビりますよね。だからといて過剰反応して必要以上に刺激しないこと。そっと優しく(?)退治することが肝要です。
3. 安易に殺虫剤を使わない
上と同様なことなんですが、ビビると安易に殺虫剤を使ってしまいがち。しかし、この行為にもその後の対策がこじれるリスクが潜んでいます。殺虫剤によって目に見える範囲のものは退治できるかもしれませんが、シロアリの全体像はそれだけじゃありません。シロアリは殺虫剤の届かないところに逃げ、痕跡が見つからないところに被害が拡散してしまう可能性が高くなってしまいます。
それに殺虫剤の成分はじきに薄れてしまいますので、同じところにまた出てくる可能性もあります。
床下でバルサンをたくのも同様にNGです。ちょっとやそっとの煙では届かないところはいくらでもありますからね。木材や蟻道の中とか。
かといって沢山バルサンすると、人体にも毒ですし、煙で消防署に通報されて大騒ぎになってしまいますよ。。。
また、シロアリは春から初夏にかけて、羽蟻という形態で大量に飛び立し、コロニーを分けるような行動をとります。種の保存のためなんでしょうね。
ですので、家の近く、ましてや家の中で大量の羽蟻を見つけた場合も注意が必要です。そんなときも、つい殺虫剤で退治したくなっちゃうと思いますが、飛んで逃げてしまうのでやはり羽蟻に対しても刺激を与えるのはよろしくありません。
では羽蟻を見たら具体的にどうするか。掃除機で吸い取ってしまうのがよいそうです。できるだけ刺激を与えずに。羽蟻も弱い生き物なので、吸い込んだ後、次の日にはもうお亡くなりになります。そしたら掃除機からポイします。
4. DIYに固執しすぎない
今回の記事はDIYでの駆除をご紹介するものなのですが、もちろんそれがベストではない場合もあります。シロアリを発見した段階で、もし被害が住宅の広い範囲に及んでいたなら、DIYだとかそんな悠長なことは言ってられません。即効性の高い手段も必要になりますので、早い段階からプロに相談することをおすすめします。どうしよう・・・と、先延ばしにして後悔することのないように。
とはいえ・・・残念ながら一部に「悪徳業者」がいることも事実なようです。プロに頼むといっても、そこんところが一番心配ですよね。
信頼のおける業者さんを選ぶには
業者選びの一つのポイントは、シロアリの生態について詳しく説明できるか、というところです。見積もりの段階で、シロアリの種類は何か、どういう生態なのか、どうしてそういう作業や設備(床下換気扇など)が必要なのか、など詳しく説明を求めましょう。まともな説明ができなければまずもって怪しいです。
そして、1社ではなく、複数の業者さんから見積もりを取って比較検討するようにしましょう。「安くする」とか「一日も早く取り掛からないと」などと言って契約の即決を迫る業者も問題外だと思います。
本記事の内容をもう一度読み返していただき、こうした業者さんと対峙できるよう、知識武装の一助としていただければと思います。
終わりに
昔、小学生のころに、実家でシロアリ被害を受けたことがありました。まだ私は子供だったので、詳しいことは覚えていないのですが、薬剤の臭いが強烈だったことだけは鮮明に覚えています。シロアリの食害でだんだんと1階の床がブカブカになっていました。ある日、学校から帰ってきたら、家の中がすごい臭いで大変なことになってたんです。業者さんに頼んでシロアリの薬剤を散布したとのこと。しばらく(何日も)ずっと臭いがとれなかった記憶があります。あれはホントにきつかった。
それから思うと、今回は薬剤の臭いは一切なし。安くあがったし、家の方に被害が無かったのが不幸中の幸いでした。
以後、継続してシロアリハンターを家の周りに設置していますが、今のところ新たなシロアリは出ていないようです。
まあ、お守りみたいなものですね。当たり外れがあるわけですから、ハンターだけに頼らず、定期的な床下点検なども重要だなと思っている次第です。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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